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衝撃的敗戦と新ビジネスがもたらす、
格闘技界の「新しい時代」。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2010/08/03 10:30

衝撃的敗戦と新ビジネスがもたらす、格闘技界の「新しい時代」。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

北米で盛り上がりを見せる『STRIKEFORCE』は、『UFC』に次ぐ人気を誇る

格闘技の“見方”の変化とFEGの新ビジネス。

 その一方、メレンデスvs青木とヒョードルvsヴェウドゥムは、インターネットによる日本向けの生中継が行なわれてもいる。海の向こうで行なわれている試合を、リアルタイムで見ることができたのだ。また、K-1やDREAMも、今年に入ってPPV(ペイ・パー・ビュー)放送に力を入れ始めている。

 過去十数年、日本における格闘技ブームは地上波中継とともにあった。関係者だけでなくファンも視聴率を気にしていたし、それがブームの尺度にもなっていた。

 ただし、2010年を節目に、それも大きく変化することだろう。ネット中継によって海外の試合を簡単に見ることができれば、“海の向こう”という感覚は薄くなる。どこで開催される大会で、どんな国の人間が闘っていようと、それが面白いものであればファンには関係なくなるはずだ。同時にK-1、DREAMのPPVによって、地上波中継を「この大事な試合がダイジェストかよ!」と愚痴りながら見る必要もなくなる。PRIDEの残像を追い求める時代の終焉は、テレビ(地上波)格闘技時代の終焉でもあるのではないか。

 7月16日には、K-1、DREAMを主催するFEGと中国の投資銀行PUJI CAPITALの提携とSPV(特別目的事業体)設立が発表された。世界的に投資家とビジネス・パートナーを募るのが目的だ。つまり日本の銀行から融資を受け、日本企業をスポンサーにし、日本のファンに見せるだけでは限界があるということである。

 今後、K-1GPの決勝大会や、Dynamite!!が、北京やロンドンで開催される日も来るだろう。そしてファンは、UFCやSTRIKEFORCEと同じように、もともとは“日本発”であるK-1とDREAMも“世界的コンテンツ”として楽しむことができるのではないか。

 時代は否応なしに変わる。2010年のパラダイム・シフトによって、これからは、新しい時代が一から築かれていくことになる。PRIDE活動休止から3年、ようやく日本の格闘技ファンは前を向くことができるようになるはずだ。語るべきは過去ではなく、未来なのである。

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