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「審判のレベルが上がっていない!」
柏のレアンドロが訴えたJの課題。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2013/01/11 10:30
昨年のJ1最終節で退場処分を受け、計3試合の出場停止となったレアンドロ・ドミンゲス。天皇杯は準決勝まで出場できなかったが、決勝では両チーム最多のシュート5本を放つなど攻撃を牽引し、優勝に大きく貢献した。
本質を見極めぬ判定を鹿島のジョルジーニョ監督も嘆く。
当然ながら、こういうレフェリーへの不満は、彼個人だけが抱いているものではない。2012年は多くの監督や選手が、レフェリングの低下を指摘した。特に不満を爆発させたのが鹿島アントラーズを率いていたジョルジーニョ監督だ。第5節の浦和戦(主審は木村博之)の記者会見ではこう語った。
「レフェリングの質は、その国のサッカーに大きな影響を与える。関係者が改善していく必要がある。前任者のオリヴェイラ監督からも言われたが、日本はすべての面で素晴らしい環境が整っているが、残念ながらレフェリングの部分でサッカーの発展を妨げている。日本サッカーに関わる全員が真剣に考えるべき問題だと思う」
ジョルジーニョ監督は第22節の浦和戦(主審は扇谷健司)の記者会見で、再び審判に言及した。
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「レフェリングに左右されることが多すぎる。私が現役時代の頃より、選手のレベルが上がり、スタジアムの雰囲気などすべてがいい方向に向かっている。なのに、レフェリングだけは違う。これは悲しいことだ」
レアンドロやジョルジーニョといったスーパースターは、特別な動体視力とサッカーセンスを持っている。そういう人間からしたら、日本人審判が本質を見極めることよりも、“選手が倒れたか・倒れなかったか”という現象を優先して笛を吹くことに我慢ならないのだろう。
審判批判をタブー視するJリーグの空気にも問題がある。
また、よく指摘されることだが、Jリーグが審判批判をタブー視し、過度な保護下に置いていることも、監督や選手の苛立ちを大きくしていると思われる。ミックスゾーンで選手が話そうとしているにもかかわらず、広報がまるで芸能マネージャーかのように制止しようとするリーグを個人的に見たことがない。もっと自由に審判の批評をする雰囲気があっていいはずだ。
日本人審判がレベルアップのために努力しているのは、疑いようもないことだ。なのに過度に保護したら、誤審にフタをできる一方で、きちんとした成果までもが正当に評価されなくなってしまう。現在の日本で審判が評価されるのは、W杯で笛を吹いたときだけになってしまっているように思う。