濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
格闘技界の新基軸、Krushの独自性。
重要視するのは大会場よりファンの熱。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2012/10/28 08:01
10月23日、都内で行なわれた記者会見にはKrushを支える、チームドラゴンの精鋭が勢揃い。宮田充プロデューサー(写真後列右から4番目)はKrush初となる1月14日、代々木第二体育館での大会に関して熱く語った。
目新しさではなく、本当のファンを前面に出す戦略。
10月23日に行なわれた記者会見では、大会のスペシャルサポーターも発表された。就任したのはタレントの関根勤。芸能界一の格闘技マニアで、Krushでもリングサイドの常連だ。
必ず本戦前のオープニングファイトから全試合を見ることで知られ、キャリアの浅い選手が中心の新宿FACE大会にも足を運ぶ。その人選が、いかにもKrushらしい。ビッグイベントといえど、唐突な話題作りに頼ろうとはしないのである。
1.14代々木大会は、特別な興行ではあっても“別枠”ではない。むしろ誇るべきは、代々木第二体育館で開催することではなく、その前後1カ月以内に後楽園大会を行なえることなのではないか。
日本格闘技界の新たなお手本となるKrushの独自性。
メディア面ではCS放送GAORAに加えYouTubeの専門チャンネルで記者会見の模様を配信。10月21日の新宿大会はニコニコ生放送で中継され、予想を上回る約30,000アクセスを記録した。
野球の球団経営にたとえるなら、トレードとFAによる大型補強で作られた常勝チームではなく、高卒ルーキーばかりを育て上げて毎年クライマックスシリーズに出場する強豪チームといったところか。
後楽園をベースとし、“熱”と継続性を重視したイベントを開催。それをCSとネットで広めていく。地上波ありき、大会場ありきで規模を重視する、従来の“メジャー”とは違う世界観で勝負し、無謀な冒険ではない形で代々木第二体育館進出を果たすKrush。
その独自性は、ブームが過ぎ去った中で踏ん張り続ける日本格闘技界のお手本、あるいは象徴だといえるかもしれない。