ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
東アフリカ勢が席巻する女子マラソン。
日本の秘策は“チーム戦術”にあり!?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byPOOL(NIKKAN SPORTS)/AFLO
posted2012/07/23 10:30
昨年11月の横浜国際女子マラソンで壮絶なデッドヒートを繰り広げた木崎良子(左)と尾崎好美。ロンドンでは、重友梨佐を含めた3人の共闘が見られるのか。
個人競技であるマラソンを「チームとして戦う」。
では、その意図はどこにあるのか。
重友の所属する天満屋の監督で、日本陸上競技連盟女子マラソン部長でもある武冨豊氏は、こう説明している。
「チームとして考えを共有し、想定外の展開になっても3人で協力できればいいと思います」
そう、「チームとして戦う」ということにある。
合宿でともに時間を過ごす中で、コミュニケーションを図ることもひとつだが、さらに、レース面でチームプレーが可能になれば……そんな目的もある。
どういうことかというと、前半から押し切っていく重友、後半の粘りが身上の木崎と、持ち味は異なる。それぞれの特徴を合宿の中であらためて知ることで、レース展開に応じて協力して臨めないかという考えだ。
「協力して走ることも考えられます」と尾崎も語る。
自転車レースなどでも、個人レースでありながら、同じ所属チームの選手で連係を取り合い、他の所属チームの選手との駆け引きをするケースがある。いや、マラソンでも、ケニアの選手たちが協力してペースの上げ下げを行なうこともある。
選手も、そこに活路を見出したいという意識はある。尾崎は、合宿を前にこう語っていた。
「協力して走ることも考えられます」
個人競技であるとは言っていられない現実があるのは分かっているのだ。
高橋や野口のような絶対的なエースと言える存在はいない。日本陸上競技連盟も、「入賞を目指したい」と、控えめな目標を掲げるのが現状である。
それでも、少しでも可能性を求めて、大会に備えようとする3人の選手がどのような走りを見せるのか、レース展開、駆け引きの工夫も含め、注目の試合となる。