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なぜレンジャーズが獲得したのか?
ダルビッシュを巡る選手補強の裏側。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2011/12/22 11:00

なぜレンジャーズが獲得したのか?ダルビッシュを巡る選手補強の裏側。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日本が連覇を果たした2009年の第2回WBC。アメリカと対戦した準決勝では、ドジャースタジアムにダルビッシュの勝利の咆哮が響きわたった。アメリカの野球ファンの目にも、くっきり焼き付けられたはずのシーン

 12月19日、MLB機構は日本ハムの入札受諾に伴い、ダルビッシュ有投手の独占交渉権を落札した球団がレンジャーズであることを発表した。

 すでに入札〆切りの後から様々な憶測報道がなされていたが、どうやらレンジャーズとブルージェイズの一騎打ちだったようだ。両チームともにシーズン中にGM自ら日本に赴きダルビッシュを直接視察するという熱の入れようで、両者はかなり早い時期からダルビッシュ獲得で固まっていたようだ。

早くからブルージェイズが見せていた獲得への熱意。

 結局落札には至らなかったが、早くからダルビッシュ獲得の意思表示を示していた知り合いのブルージェイズ球団幹部は、ダルビッシュを獲得したい理由を以下のように話してくれていた。

「チーム内に才能ある若手選手が揃った。今チームは数年後にプレーオフ進出できるチーム作りを目指している。そのためにもダルビッシュが欲しいと考えている」

 ほんの数年前まで、カナダの企業が所有していたブルージェイズは、カナダと米国の為替の関係(米ドル高・カナダドル安)で、資金力のある同地区内のヤンキースやレッドソックスに対抗できなかった。

 しかし、米国の経済不況で現在の立場は一変。両国通貨の為替はほぼ同価値となり、さらにカナダ経済は米国よりも好調で補強資金も豊かになっていた。今回はダルビッシュ入札に失敗したものの、今後は間違いなく大型補強を画策してくるだろう。

ポスティング史上最高額で獲得した独占交渉権。

 一方で、念願の独占交渉権を獲得したレンジャーズは、MLBの発表とほぼ同時に公式サイトおよびツイッターで発表するなど、その喜びぶりは尋常ではない。やはりダルビッシュ獲得にかなり真剣に取り組んできたのが窺い知れる。

 昨年途中にノーラン・ライアン氏を筆頭としたテキサス中心の巨大投資グループが球団買収に成功。以来、その豊富な資金力をバックに、積極的な選手補強に資金を投入し続けており、一部で報じられているように今回もポスティング制度史上最高額の5170万ドル(約40億円)を投じている。

【次ページ】 “常勝軍団”を築き上げるために必要な本格右腕。

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