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実は劇的に成長していた岡崎慎司。
シュツットガルトで“点取り屋”宣言!
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2011/10/28 10:30
ホッフェンハイム戦で得点した時の岡崎慎司。自らのブログで「サイドでプレーをするのが嫌とかではなく。気持ちすらが、サイドプレーヤーになってた自分に腹がたったんよな」と綴っていた直後の得点だった
それは突然の告白だった。
「(香川)真司ばかりが『調子が悪い』と言われていたけど、真司は良いプレーをしていたと思う。チームが点をとれなかったときには、俺の方を叩いて欲しい。俺の方が生粋の点取り屋なんで。自分が点取り屋なんだというのを、ブンデスでもそうだし、代表でも、見せることが大事だと思います」
10月11日に行なわれた日本代表のタジキスタン戦のあとに岡崎慎司は語り始めた。8ゴールを奪って快勝したあと、多くの選手が表情を緩める中で、スイッチが入ったように岡崎は語り始めた。そこには決意がにじんでいた。
岡崎は、変わりつつある。
件の発言をした直後に行なわれたブンデスリーガ第9節ホッフェンハイム戦では、左MFとして出場して、さっそく決勝ゴールを決めた。「点取り屋」としてのプライドを見せつけたのだ。
「点取り屋」岡崎の成長はメンタルの変化に現れた。
シュツットガルトは10試合を終えて、首位バイエルンと勝ち点差5、2位ドルトムントとはわずかに勝ち点差2の5位だ。好位置につけている要因の一つに岡崎の活躍がある。
ここまで岡崎は9試合に出場して3ゴール。怪我で出遅れ、そのうちの2試合はいずれもベンチスタートだったことを考えれば、まずまずの成績だ。シーズン34試合で10ゴール以上という目標を達成するのも想像に難くない。
チームを率いるブルーノ・ラバディア監督はFW出身で、かつてはブンデスリーガを代表するストライカーだった。ストライカーの気持ちを熟知する監督は、得意気に語る。
「(FWではなくサイドのMFで起用している)岡崎がいることで、チームはより一層攻撃的な戦いができるのだ」
ホッフェンハイム戦で岡崎がゴールを決めたのは、後半3分のことだった。前半には2度ペナルティエリアからシュートを放っているが、ともに大きく枠を外していた。調子が良くないようにも見えたが、岡崎自身の感じ方は少し違っていた。
「最近は、シュートを外しても『次に決めればいいか』と思える。こっち(ヨーロッパ)の選手のようなメンタルになってきているんですよ」
ホッフェンハイム戦でも、前半にシュートを大きく外しても気にすることはなかったからこそ、後半に入って最初のチャンスでしっかりと決めることが出来たのだ。