MLB Column from WestBACK NUMBER
絶好調の大塚を支えるもの
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGettyimages/AFLO
posted2004/09/22 00:00
いよいよシーズンも大詰めを迎え、各ディビジョンとともに熾烈な優勝争いが続いている。そんな状況下、9月14日からパドレスがLAに乗り込んで首位ドジャースと3連戦を戦い、2勝1敗と勝ち越し。ジャイアンツを加えた西地区の首位争いをさらに面白くしてくれた。もちろんパドレスが勝った2試合には、大塚晶則投手がマウンドに上がっている。
以前にもこの場で大塚投手の活躍ぶりを紹介しているが、シーズン後半に入ってもその勢いはまったく衰えていない。リリーフ投手の貢献度を表すホールド数(日米で多少規定が違うらしいが、概略はリリーフ投手が登板を終了した時点で試合終了と仮定し、セーブとなる場面ならホールドとなる)では、19日現在 33と堂々のナ・リーグ首位。ヤンキースのトム・ゴードン投手と僅差でメジャー1位の座を争っている。
大塚投手の活躍を証明する数字はまだまだある。防御率1.90、被打率.191は、ともにパドレス主力投手の中ではトップ。さらに9イニングあたりの三振奪取率になると、チーム全投手中で1位となる10・39を記録している。打者を力でねじ伏せるという意味においては、メジャー通算3位のセーブ数を誇るトレバー・ホフマン投手を超えているといっていい。
オールスターの時期に、こちらの某スポーツ雑誌が前半戦の総評をまとめ、ナ・リーグ新人賞に大塚投手を選出していた。もちろん現時点でも新人賞の最有力候補に変わりはない。
「まったく疲れてないですし、体調も悪くないですよ。チームのためにできるだけ投げたいです」
パドレスにとっては頼もしい限りの存在だが、162試合という長丁場は初めての経験であるのに、まったく動じるところがない大塚投手。果たして何か秘策があったのだろうか。
「オフシーズンに投球フォームを変えたんです。今までより疲れがでない、コンパクトなものにしました。日本の時とはだいぶ違っていると思いますよ」
さらに大塚投手に修正箇所を尋ねると、ちょっと意外なところだった。
「去年まで右足の外側をプレートに乗せて投げていたんです。それをプレートの前に置くようにしました」
一般人からしてみれば些細なことのように思えるが、足の位置を数センチずらしたことで、フォームのバランスがよくなり、スムーズにパワーの移動ができるようになったということだ。このことに気づいたのが昨年在籍した中日時代でのこと。山本投手らがこのフォームで投げているのを見て、自らも試したいと考えたということだ。
「もし中日に行っていなかったら、今の活躍は無かったでしょうね。全然無駄ではなかったですよ」
2年前近鉄時代にポスティング制度を使ってメジャー入りを目指したが、入札チームはゼロ。その後中日に移籍し、2度目のポスティングで夢のメジャー入りが実現した。傍目には中日の1年は回り道だったと考えがちだが、それを見事に自分の成長に変えたプラス思考。大塚投手の成功は、このあたりも関係しているのではないか。