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ジャンプW杯に見た、お家芸の復活。
日本にメダルをもたらすのは誰だ? 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byPHOTO KISHIMOTO

posted2009/12/08 10:30

ジャンプW杯に見た、お家芸の復活。日本にメダルをもたらすのは誰だ?<Number Web> photograph by PHOTO KISHIMOTO

1992年アルベールビルに19歳で初出場して以来、5回連続で冬季五輪に出場という日本タイ記録を持つ葛西紀明。37歳にしてバンクーバーに出場すると記録更新となる

 ノルディックスキー・ジャンプのワールドカップが開幕した。

 オリンピックイヤーである今シーズンを迎えるにあたって、風向きや風の強さなどをポイント化して順位に加える新ルールを採用するかどうかでジャンプ界は揺れたが、結局従来のルールでオリンピックは行なうことで決着を見た。

 風に泣かされることが多く、「(公平になるから)新ルールは大歓迎です」と言っていた葛西紀明にとっては、残念なところだったかもしれないが、ともかく、大会は始まった。

 11月28日には、フィンランド・クーサモで個人戦の初戦となるラージヒルが行なわれた。日本勢は、栃本翔平が自己最高の6位、伊東大貴が9位、葛西が10位と、3選手が10位以内に入った。上々の滑り出しといってよい。この3人は、予選を免除されるシード権を得たが、ヘッドコーチのカリ・ユリアンティラも、「オリンピックまではまだまだ遠いですが、シード権がなければ戦えないから」と笑顔を見せ、手ごたえを感じているようだった。

長野五輪以降の低迷期をようやく脱した日本ジャンプ陣。

 日本のジャンプ陣は、1998年の長野五輪で団体金メダルなどの活躍を見せて以降、ルール改正の影響などで低迷。

 '02年のソルトレイク、'06年のトリノと、メダルを獲れずに終わった。世界選手権やワールドカップでも好成績をあげることは少なく、とにかく地盤沈下が著しかった。

 ようやく、復調の兆しを見せたのが昨シーズン。

 今年2月にチェコ・リベレツで行なわれた世界選手権団体で銅メダルを獲得。07年の札幌大会に続く表彰台だったが、「前回は運。今回は実力」と選手たちが言うように、天候のめぐり合わせなどでなく、自力で獲った表彰台といえるものだった。

 またワールドカップでも、岡部孝信が史上最年長優勝、葛西も表彰台に上がるなどの活躍を見せた。

フィンランド人コーチとの確執が不振の原因だった?

 復調の原因の一つに、トリノ五輪前に就任したユリアンティラと選手たちの関係の変化がある。

 フィンランド、アメリカ、スウェーデンでヘッドコーチを務め、数々の選手を育てたユリアンティラは、自身の指導方針に自信を持つゆえに、選手たちにそれを提示した。むろん、それは当然のことだったかもしれないが、日本の選手たちも、日本の技術で飛んできたという誇りを持っている。そのため、ときに反発が生まれることもあった。

 だが、一昨年あたりから、関係が変わり始めた。

【次ページ】 コーチとの関係が改善されるとともに成績も急上昇。

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