ベースボール・ダンディBACK NUMBER
過去20年で最高の外野手は誰だ?
~記録で見る真実の「守備力」~
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byHideki Sugiyama/Shigeki Yamamoto/Masashi Ebata
posted2010/01/08 10:30
データを丹念に調べると、面白い選手が浮かび上がる。
現ソフトバンク外野守備走塁コーチの井出竜也も、日本ハム時代に1位を3度記録している守備の達人だ。トップ3には6度入っているが、ゴールデングラブ受賞は2度だけ。打力が地味だった分、賞には縁が薄かった選手の部類に入る。
'91年1位の大野久は阪神時代の'88年にもセで1位になっており、“守備の名手として名前がめったに挙がらない名手”である。
阪神ファンには、和田豊との1、2番少年隊コンビがなつかしいのではないか。こういう選手の名前を掘り起こせるところに、データの面白さがある。
ダイエー、日本ハム、ヤクルト、横浜に名手が多い。
こうして見ると、RF1位の外野手にはダイエーと日本ハムの選手が多いことに気付く。「おお、やはり広い本拠地球場が有利なのか」と思い込みそうになるが、そのあたりのバイアスは正直よくわからない。'90年代の日本ハムの本拠地は東京ドームであり、広くはない。
セ・リーグに目を移せば、RF1位はヤクルトと横浜の選手が多く、ヤクルトの本拠地・神宮球場も広くない。球場の違いをさておき、選手の能力として評価してもいいのではないだろうか。
また、こうやって並べると「じゃあ'70年代、'80年代はどうなんだ。福本豊のほうがすごかったぞ」「いや、守備が過小評価されている外野手の筆頭は山本浩二だ!」といった、オールドファンの声も聞こえてきそうだ。
福本豊、山本浩二は驚異的な数字を残しているが……。
レンジファクターだけざっと紹介しておこう。福本豊(阪急)は、'77年に2.75、'76年2.71。RF2.5以上を1970年代に6度記録している。近年の選手と比較すると、とんでもなく驚異的な数字である。
山本浩二(広島)は'72年の2.67を最高に、RF2.5以上を5度記録している。こちらもすごい。単純な比較なら、福本と山本浩二は、飯田や新庄、秋山よりも上を行く。