MLB Column from USABACK NUMBER
トレード市場最大の目玉商品。
ロイ・ハラデーの「値段」。
text by
李啓充Kaechoong Lee
photograph byGetty Images
posted2009/07/14 11:30
ハラデーは高校を卒業した'95年にドラフト一巡目で入団。メジャー昇格後にマイナー落ちも経験するが、'03年に22勝を挙げて以降はチームの柱として安定した活躍をしている。
ヤンキースが財力に物を言わせる“裏技”があるかも?
いまのところ、フィリーズ、エンゼルス、ジャイアンツ、ブルワース、カージナルスなどが移籍先の有力候補と言われており、ヤンキース、レッドソックスは、若手有望選手を多数差し出してまで獲得に乗り出す気はないと見られている。
ただ、いつものことながら、最終的にヤンキースが財力に物を言わせてハラデーを獲得する「裏技」がないわけではない。財政事情が苦しいブルージェイズの足下を見て、「有望選手はそれほど差し出せませんが、抱き合わせにウェルズ(あるいはリオス)を引き取りましょう」と、アホウドリ契約の買い取りを申し出るのである。しかも、ヤンキースにとっては契約残高の全額を払う必要はなく、たとえば半分をブルージェイズに負担させる等、交渉次第でアホウドリ購入の出費はいくらでも減らすことができる(一方、ブルージェイズにとっては出費が半減できるだけでも莫大な節約となる)。
さらに、ヤンキースにはウェルズ、リオスを獲得する特別のメリットも存在する。まずウェルズだが、対ヤンキース通算OPS8割8分9厘と、これまで苦しめられてきた選手であるだけに、獲得した場合、少なくとも苦手を一人減らすことが可能となる。一方、リオスは対レッドソックス通算OPS9割5分5厘と、名うてのレッドソックス・キラーだ。今季0勝8敗と苦戦している仇敵に対し、劣勢を挽回する決め手となり得るのである。