MLB Column from WestBACK NUMBER

理論に裏打ちされた、城島の活躍。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2006/07/04 00:00

理論に裏打ちされた、城島の活躍。<Number Web> photograph by AFLO

 随分昔のことだが、ヤクルトの古田兼任監督にインタビューした際、捕手の醍醐味を話してくれたが、今回城島選手を取材していて、やはり捕手の思考法の妙を改めて痛感させられるとともに、新たな野球の奥深さを教えてもらった気がする。例えば、某投手が本塁打を打たれ「あれは自分のミス。失投だった」と話していた時のことだが、城島選手の立場だと以下のようになるのだ。

 「もちろんミスですが、失投しても打たれないようにするのがリードなんです。あの場面は外角のチェンジアップで勝負する前にもう1球内角に真っ直ぐを投げておくべきだった。打者は真っ直ぐを待っているステップじゃなかった。彼(投手)のようなベテラン投手が2度首を振ったら思い通り投げさせるしかないですからね」

 もちろんこれまでもメジャー捕手の取材をしたことはあるが、自分の英語力のつたなさもあり、ここまで詳細の状況分析を聞いたことがなかった。投手とは微妙に違った打者との駆け引きなど、城島選手の取材をしていて久々に楽しい気分を味わわせてもらった。

 「キャンプ初日からジョージマに対し違和感を抱いたことはない。今は彼がメジャーに適応していきながら、お互いを理解し合っている課程なんだ」

 43歳のモイヤー投手が城島選手の捕手としての技量を評価しているように、試合を重ねるにつれ、マリナーズ投手陣との間に着実に信頼関係を築きつつある。

 開幕以前は捕手としての特殊性ゆえ、城島選手のメジャー挑戦の難しさを指摘したわけだが、ここまで見る限り、城島選手はその特殊性を見事に生かしながら活躍を続けている。7月以降も日本人2選手が牽引するマリナーズの動向に注目していきたい。

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