Column from GermanyBACK NUMBER
負けるほど大金が入ってくる仕組みって?
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byAFLO
posted2005/10/07 00:00
UEFAカップに出場したドイツ5チームのうち、1回戦で早くも2つが姿を消した。残る3つが、この“二級品”のタイトルを争うわけだが、裏舞台でもう1つのバトルが展開されている。テレビ放映権料の分け前だ。
国内で放映権を持つDSF(ドイツスポーツテレビ)が支払う放映権料は1000万ユーロ(約13億5000万円)。すでに35%分が支払われている。内訳はHSV、ベルリン、シュツッツガルト、マインツが「本戦出場給」と「ホームゲーム放映」でそれぞれ50万ユーロずつの計200万ユーロ(レバークーゼンは独自のマーケティングを取っているため、DSFとは関係ない)。グループステージでホームゲーム2試合の放映権は3チームとも50万ユーロだから、これで350万ユーロ全てが消化される。
さて、残りの65%である。実はHSV、ベルリン、シュツットガルトにすべてが支払われないのだ。権利を握る『スポーツファイブ』社の規約により、彼らがアウェーでやる場合、相手チームに支払われる仕組みなのである。つまり、コペンハーゲンで激戦を演じたHSVはあの試合でテレビ放映権料はゼロだったのである。
また規約によれば、「勝ち進んだチームのみに支払われる」ことで、例えばHSVが優勝し、シュツットガルトとベルリンがグループステージで敗退した場合は、HSVが650万のうちおよそ500万を単独で稼げることになる。要は、国内ライバルが早々に負ければ、自分の懐が潤うということである。準決勝に進むだけでも130万プラス、それまでの放映権料の分配金が入る。決勝戦に進めばさらに210万が加わる。だから「国内のライバルよ、早く負けてくれ」というのが、彼らの本音なのだ。
ところでチャンピオンズリーグの分配金だが、グループステージ出場だけで350万、ここで1勝するごとに32万ユーロが稼げる。昨季、バイエルン・ミュンヘンは準々決勝で敗退したが、それでも計1840万ユーロが金庫に入った。UEFAカップとは桁違いの儲けである。
そこで付けられたUEFAカップのあだ名は、「慰労の大会」。金額の面からみたら、なるほどと思う。