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内藤の“誤算”と亀田の“計算”。
新王者はパッキャオになれるのか?
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![渋谷淳](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/-/img_edc914fc338a5bbcf41ac377fabc334211232.jpg)
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byKohei Yauchi
posted2009/11/30 11:20
![内藤の“誤算”と亀田の“計算”。新王者はパッキャオになれるのか?<Number Web> photograph by Kohei Yauchi](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/5/3/700/img_535a1af514360222b9195fe89ae12cb630209.jpg)
亀田は「勝つこと」のみに徹したスタイルだったが……。
対する亀田は余計なことを一切考えなかった。ボクシングというスポーツのアスリートとして、純粋に勝利を目指した。とにかく勝つのだ。たとえ試合がつまらないと言われようが、消極的だと言われようが、チャンピオンを打ち負かすためにはカウンターを狙うしかない。恥も外聞もない勝利への執着心が、ベストの戦術を迷わず選択させ、内藤のV6を阻んだのである。
新チャンピオンに課せられた「使命」とは?
さあ、問題はこれからだ。
新チャンピオンには今後、マッチメークでファンを裏切らないようにしてほしい。あえて蒸し返そう。亀田批判の原点とは何だったか。それは日本人選手、あるいは強い外国人選手との対戦を避け、咬ませ犬の外国人選手とばかり試合を重ねてきた事実である。
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試合前、亀田が何度か口にした発言は非常に興味深い。
「この試合を世界戦とは思っていない。日本一を決める戦いや」
発言の意図は「この試合は通過点。自分の夢(複数階級制覇やラスベガスでのビッグマッチ)はまだ先にある」ということなのだが、そもそも日本一を決める世界タイトルマッチとはいったい何なのだろうか。本来ならばこの対戦、内藤が日本王者だった4年ほど前に日本タイトルマッチとして行われるべき一戦だった。このような理解しがたい事態は、もうこりごりである。
対戦相手を選ばない“アジアを代表するような”選手へ!
リング上でも、記者会見でも、亀田は次のように話した。
「アジアを代表するパッキャオのような選手、尊敬される選手になりたい」
パッキャオとは言わずと知れたフィリピンの英雄、マニー・パッキャオである。世界6階級制覇のオスカー・デラホーヤらスター選手を次々とキャンバスに沈め、いまや全階級を通じて最も偉大なボクサーに位置付けられている。
パッキャオは対戦相手など選ばない。いや、実力あるボクサーだけを対戦相手に選ぶ。だから、尊敬されるのだ。
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