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長谷部誠がヴォルフスブルクを救う!
独メディアが彼を高評価する理由。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byUniphoto Press

posted2010/01/10 08:00

長谷部誠がヴォルフスブルクを救う!独メディアが彼を高評価する理由。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

ポルトガル代表も務めたDFのリカルド・コスタと共に。昨年の優勝で、奥寺康彦以来31年ぶりにリーガ優勝を果たした日本人となった長谷部

 5カ月前には、探しても見つからなかった。

 今は、探さなくても視界に飛び込んでくる。

 昨年末に出た一つの新聞記事が、変化を物語っている。

 およそ5カ月前、ブンデスリーガの開幕を控えて、ドイツ中のメディアが各チームのスタメン予想を繰り広げていた。しかし、どこに目をやってみてもヴォルフスブルクの予想フォーメーションに長谷部誠の名前は見つけられなかった。彼の定位置である右MFのポジションに書かれていたのは、今季開幕前に加わったカリム・ジアニやトーマス・カーレンベルクの名前だった。

注目度ゼロから評価は一変。いまやチームの主力選手に。

 だが、状況は大きく変わった。

 昨年の12月29日、『ビルト』紙にヴォルフスブルクの危機を煽る記事が掲載された。不振にあえぐ昨季のドイツ王者の主力選手たちが、シーズン終了後にチームを去るのではないか。そんな論調で主力選手たちの去就に関する“うわさ”を掲載している。

 昨季のリーグアシスト王であるズヴェズダン・ミシモビッチ、ACミランなどのビッグクラブが触手を伸ばしているエディン・ジェコ、ドイツ代表であるマルセル・シェーファーやクリスチャン・ゲントナーらの名が並ぶ。そこに主力選手として長谷部の名前も挙がっている。

 開幕前にはいくら探しても見つからなかった長谷部の名は、ヴォルフスブルクの主力選手として当たり前に目に出来るようになった。

 何故だろうか。

連敗中のチームを勝利に導いたのは長谷部の守備力だった。

 たとえば、長谷部は「自信をつかんだ」試合として、途中出場して決勝ゴールをアシストした9月のシャルケ04戦を挙げている。『キッカー』誌にこの試合のレポートを書き、各選手のプレーを採点したトーマス記者は、長谷部に2.5という高い点数をつけた。ドイツでは、1が最高点、6が最低だ。トーマス記者が、採点の理由を明かしてくれた。

「途中出場であっても2.5点に値するということなんだ。だって……考えてほしい。そもそも長谷部にゴールが求められていると思うか? 長谷部にはまず、第一に守備が求められているんだ。そのうえでゴールに絡んだからこその評価なんだよ」

【次ページ】 「この日本人は目立たないが、価値あるプレーを見せる」

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