酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「オープン戦打率.051 OPS.170」絶不調が一転「打率.469 OPS1.188」FA2年目の覚醒か…オリックス西川龍馬30歳、20打数10安打で絶好調
posted2025/04/08 06:00

プロ野球界屈指の巧打者で知られる西川龍馬。FA移籍したオリックス2年目での覚醒なるか
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
少し前まで、オリックスは「大型補強」をするチームではなかった。外国人選手に「当たり」が多い印象はあったが、他球団の大物選手を獲得して、主軸に据えるようなイメージはなかった。
それだけに2023年に西武から強打の捕手・森友哉、2024年に広島の中軸打者・西川龍馬をともにFAで獲得した時に、多くのオリックスファンはポスティングでMLBに移籍した吉田正尚、山本由伸の恩恵を実感したはずだ。
吉田と由伸の譲渡金もあって、西川と九里を
吉田の移籍の際には22.3億円、山本の際は72億円もの譲渡金がオリックスに支払われた。この潤沢な資金があればこそ、他球団の主力をFAで獲得できたに違いない。さらに25年には広島の先発投手・九里亜蓮をFAで獲得した。
ADVERTISEMENT
森の前となると、他球団の大物日本人選手がオリックスにやってきたのは――このほど引退した中島宏之が米マイナーから、2010年の打点王・小谷野栄一が日本ハムから移籍した2015年までさかのぼらなくてはならない。
オリックスファンは、西川龍馬に吉田正尚がオーバーラップして映ったはずだ。西川は福井県の敦賀気比高で吉田の1学年下。吉田は173cm、西川は176cm、ともに小柄でシャープな左打ち。打席での構えも吉田に似ている。ともにミートが巧みな中距離打者で、勝負強いクラッチヒッターでもある。
絶不調のオープン戦打率「.051」から一転して
西川の加入は、オリックス打線をさらに分厚くしてくれるに違いない――と、ファンの多くが期待を膨らませたはずだ。
しかし2024年、西川の成績は以下の通り。
138試519打134安7本46点、率.258 OPS.641
西川はキャリアを通じてケガによって欠場しがちな中で、昨年はほぼフル出場。安打数はチーム1位、打点は1位タイだったが、貧打線を押し上げるには至らず。3連覇中だったチームは5位に落ち込み、チームの期待に応えたとはいいがたい。左投手を苦にせず、広角に安打を打つ西川の魅力はほとんど発揮できなかった。
左翼手としての西川は吉田よりも機敏で、守備範囲が広く、肩も強い印象はあった。とはいえ西川にはグローブではなく、バットで活躍してほしかったはずだ。