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「大谷翔平でも苦労した」身長178cmの今永昇太がメジャー強打者を封じた要因は「美しいバックスピンと…」最先端分析でズバリ〈開幕投手決定〉 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byDaniel Shirey/Getty Images

posted2025/02/20 17:00

「大谷翔平でも苦労した」身長178cmの今永昇太がメジャー強打者を封じた要因は「美しいバックスピンと…」最先端分析でズバリ〈開幕投手決定〉<Number Web> photograph by Daniel Shirey/Getty Images

2024年オールスターでの大谷翔平と今永昇太。この年の対戦成績では今永が完璧に抑えている

 今永のVAAは-4.17で、メジャー先発左腕の中では3番目に低い(左投手VAAランキングの図)。速球の平均球速は147.5キロとメジャー平均より約4キロ遅くても、速球で相手打者を抑えられる要因となっている。

 速球でファウルを取っている割合が右打者は27%、左打者は26%と、どちらもメジャー平均19%を大きく上回っているところも速球の角度が影響していると神事氏は分析している。

「打者にとっては想定よりも投球が高めに到達するイメージです。低いリリースポイントから高めに来ると、打者は球に伸びを感じます。浅いカウントで速球を投げてファウルをかせぎ、追い込んでからスプリットやスイーパーで三振を奪うスタイルが今永投手の特徴となっています」

日本に根づく“美しいバックスピン”の象徴が今永

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 この今永の速球にこそ、日本人投手がメジャーで成功するヒントが詰まっているという。VAAの数値に加えて注目すべきは「球の回転」。今永の速球は1分間に2442回転と回転数が多く、回転軸の角度が進行方向に対して90度に近いため――きれいなバックスピンがかかっている。その質の高さを神事氏が解説する。

「回転軸が投球の進行方向からずれるほど、球が垂れてしまいます。極端な話、スライダーやカーブのように回転をかければ回転数は上がります。そうではなく、今永投手の速球は垂直に近い回転軸で回転数が多いので伸びるわけです。かなり美しいバックスピンになっています」

 日本人は米国や南米の投手と比べて身長が低い。だが、その特徴を生かして低いリリースポイントから回転数の多いバックスピンの利いた速球を投じれば、打者を抑える武器となる。神事氏は、こう話す。

「小さい頃から、きれいなバックスピンを投げる指導を受ける文化が日本には根付いています。その速球を高めに投げることで打者を打ち取れる考え方をもっともっと取り入れてほしいと思っています。高めの速球という日本人投手には馴染みのない教えに適応したところにも、今永投手がメジャー1年目から成功できた理由があると考えています」

昨季の大谷vs今永は5打数無安打という事実

 ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手も今永の速球に苦戦した打者の1人だ。

【次ページ】 大谷選手でも苦労していたと言えます

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