〈東洋大学〉エース指名に「そ、そうなんですね」…気負いなき主将・梅崎蓮（4年）が最後の箱根駅伝で追求する「1秒をけずりだす」走り

「前半型やバランス型など、戦術も何パターンか考えているところです。特にエースをどこに置くのか。山の5区、6区をどうしていくのか、経験者をどこに置くのか。追い込みをしながら見極めをして、だんだん絞られていくのかと思います」

　箱根駅伝を前にした合同取材で、東洋大学の酒井俊幸監督は「エース」という言葉を使った。そして現在のチームのエースは誰かと問われ、主将の梅崎蓮の名前をあげた。

「この4年間、梅崎はしっかり箱根駅伝で成績を残していますし、前回も2区を1時間6分台で走っています。彼の2区の走りからだいぶ流れが変わり、3区の小林（亮太）とうまくつなげた上で、往路4位と良い順位でそのまま復路に行けました。2年連続で2区を走ることになれば、彼の走りが非常に重要かなと思います」

　関東学生陸上競技対校選手権（関東インカレ）ハーフマラソンで3年連続して表彰台に上っているロードでの勝負強さ、学生のうちからマラソンに挑戦しようという意欲とそれに値する努力。「そういうところが、結果としてチームを牽引する力として出てきたのかと思います」と梅崎のこれまでを認めたからこその「エース」との言葉だった。

好不調を繰り返した3年間

　当の梅崎は、酒井監督からエースだと言われていたと伝えると「そ、そうなんですね」と少し戸惑った様子。監督から直接言われたことはないそうで、「あまり自分がエースだと思うことはない」と言いつつも、「そう言われたのであれば、キャプテンとしてエースとして、自分がキーマンとなると思うので、しっかり走りたいと思います」と気負いを感じさせない言葉を口にした。

　梅崎は中学生の頃ソフトテニス部に所属していたが、助っ人として駅伝大会に出場するうちに走ることが向いていると感じるようになった。愛媛県の強豪・宇和島東高校から勧誘を受け、高校から本格的に陸上競技に取り組んだ。

　高校2年でインターハイに出場し、多数の勧誘の中から東洋大を選んだ。オリンピック代表をはじめとした「強い」選手を輩出していたこと、自分も酒井監督の指導を受けて強くなりたいと思ったのが理由だ。

　ルーキーイヤーからロードの適性を発揮し、大学駅伝デビューとなった全日本大学駅伝では5区で区間4位と好走。しかしチームで唯一の1年生として出場した箱根駅伝では、7区で区間11位と満足いく走りができなかった。

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