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「(全日本選手権は)誰が勝ってもおかしくない」坂本花織が語った…日本女子が躍動したGPファイナルで見えた“ジュニアとシニアの違い”
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2024/12/17 17:17
GPファイナルで2位となった千葉百音(左)と3位の坂本花織
もちろん表現力などを評価するコンポーネンツスコアは、シニアに比べて低い。だが技術点の総合だけを見ると島田の42ポイント、和田の38.09、中国のイハン・ヤン37.26と、3ジュニア選手が女子全体のトップ3を占めた。ちなみにシニアの1位だったグレンの技術点は、37.02だった。
フリーで本領を見せた、シニアらしい滑り
だがシニア女子がシニアたる本領を発揮して見せてくれたのは、フリーにおいてだった。2分40秒のSPに比べ、4分間(ジュニアは3分半)のフリーはスケーティングの質を見せ、音楽を表現する余裕もより長い。
またシニアには、ジュニアのフリーにないステップシークエンスがあり、特に後半でその見せ場で盛り上げるためには、SPに必要な瞬発力とはまた違う、鍛え上げられたスタミナとスケーティングスキルが必要とされる。
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優勝したアンバー・グレン、3位だった坂本花織、総合4位だった樋口新葉のベテラン勢は、氷にブレードがしっかりと乗った爽快なスピードと重厚感を見せ、ここ1年で急成長を見せた千葉百音は丁寧な中にも流れを途切れさせない安定感が印象的だった。
坂本に「ジュニアとシニアの違い」を聞くと…?
坂本に改めて、ジュニアとシニアの違う部分を聞いてみた。
「ショートはむしろジュニアの方が優勝者の点数は高かったし……でもやっぱりフリーになるとコンポーネンツの部分で、シニアの選手は今まで積み重ねてきた部分だったり、スケーティングスキル、表現に対しての気持ちっていうのが、シニアの方があるのかなと……」
坂本の言うように、ジュニアの選手は指導された通りにこなしているという滑りだが、シニアになって経験を積むごとにプログラムに自分らしさが加わってくる。坂本の今季のフリー「シカゴ」は、有名なブロードウェイの振付師ボブ・フォッシーのモチーフを基礎にした作品だが、坂本はしっかりそれを自分で消化し、坂本らしい「シカゴ」を完成させた。