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懐かしき“トンガ旋風”覚えてる? 大学ラグビー大東文化大はなぜ甦ったか…30年前“日本一のチーム”でも見た「スリッパをきれいに揃える」大切さ
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/12/13 06:00
関東大学リーグ戦で7季ぶりの優勝を飾った大東大ラグビー部。実に30年ぶりとなる選手権制覇はなるか
のち社会人のリコー(現リコーブラックラムズ東京)でプレー、U23日本代表などでも活躍し、引退後は俳優、イベントプロデュース業などにも活動を広げながら、同じリーグ戦グループの中大でヘッドコーチ、岐阜県郡上市の女子ラグビーチームの設立などに参加したのち、2023年から大東大の監督に就任している。
寮に住み込み、選手と対話を重ね、練習に臨む姿勢から寮生活のルールまで丁寧に改革に取り組んだ。今季は、これまで1年生に集中していた寮生活の仕事の負担を減らそうと、4年生が自ら分担。リーグ戦最終節の法大戦で先発にWTB大方維織、リザーブにPR小田島采輝、No8ノア・トファエオノ、FB小澤匠という1年生が並ぶ躍進につながった。
「僕のイメージでは、リーグ戦の優勝はもう少し先かなと思っていました。でも、このキャプテンが良かった。グラウンドでのリーダーシップも良いのですが、グラウンド外で本当にしっかりやってくれる。その様子を見て、『もしかしたら、今年やってくれるかも……』と思っていたところです。彼がキャプテンでいてくれたことで、僕の予想よりも早く優勝にたどり着けました」(酒井監督)
もちろん、私生活の意識づけだけで優勝に届くわけではない。戦力の面でも今季の大東大はインパクトを残した。
オールドファンの記憶に残る“トンガ旋風”
大東大と言えば「トンガ」を連想するファンが多いだろう。1986年度、トンガからの留学生No8シナリ・ラトゥとWTBワテソニ・ナモアを擁する大東大が、大学選手権で大体大から初勝利をあげると、準決勝で明大を、決勝で早大を破って初優勝を遂げた。ノーマークの存在から一気に頂点へ駆け上がった、あれよあれよの快進撃はオールドファンには語りぐさだ。
大東大はその2年後の1988年度に、明大と決勝で引き分け両者優勝で2度目の優勝(昭和天皇の崩御により決勝が順延されたときだ)、さらに6年後の1994年度に次の留学生、WTBロペティ・オトとNo8シオネ・ラトゥを擁して3度目の優勝を飾る。
日本代表でも、1987年の第1回大会からワールドカップに3大会連続で出場したシナリ・ラトゥ、1995年の第3回ワールドカップに出場したロペティ・オトとシオネ・ラトゥ、2007年ワールドカップに出場したルアタンギ・侍バツベイらが活躍。