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「イトウとナカムラは抜きん出ていた」森保ジャパンの“W杯予選無双”トルシエが本音で評価「アジア杯と全然違う。おそらく史上最高世代だ」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byL'EQUIPE/AFLO
posted2024/12/15 11:03
伊東純也と中村敬斗。日本代表とフランスのスタッド・ランスで活躍する2人を、トルシエは高く評価する
「中国はバーレーンを破り、結果を得たことでモチベーションも高まった。3連敗の後に2連勝して勝ち点6をあげ、グループ最下位から脱出した。日本には敗れたが、彼らにはこの試合で失うものは何もなかった。監督は選手のモチベーションを鼓舞して、試合はより難しくなった。
日本の得点は3点のみだったが、5~6点は取っていておかしくはなく、ボールを保持してほぼ90分間ゲームをコントロールした。日本に何の問題も生じなかった。結果は多少不本意かも知れないが、それでも日本は中国を大きく上回っていた。
繰り返すが相手が中国であったにせよ、チームは統一性と連帯感に溢れていた。ただ、日本は、もっと容易に試合を決めることができた。攻撃にはさらなる正確性が求められた。決定力は十分とはいえず、ボックス内での効率を欠いていた」
アジア杯の結果が、日本の本当の価値とは思わない
――とはいえアウェーで2点差の勝利は、喜ぶべきことであるかもしれません。
「この試合から感じたのは、ふたつのチームの間には大きな差があることだった。日本はアジアの中で頭ひとつ抜けている。アジアカップとも全然違っていた。アジアカップはEUROやW杯と同様に特別な大会だ。優勝候補は4~5チームだが、抽選による運も左右する。アジアカップの結果が、日本の本当の価値を示しているとは私は思わない。
私にとっての日本の本当の価値は、代表選手のほとんどがヨーロッパでプレーしていることであり、しかも主要なリーグで戦っていることだ。さっきも言った通り、代表のベンチには深い奥行きがある。また育成システムも充実し、優れたユースリーグがおこなわれインフラストラクチャーも整っている。指導者のクオリティも高い。それこそが日本のレベルだ。今日、日本がアジアのトップであるのはもちろん試合の結果にもよるが、W杯でベスト16に進んだから優れているのではない。W杯で準々決勝や準決勝に進みうる国はたくさんあるが、継続性にこそ日本の本当の価値がある」
おそらくは日本サッカー史上最高の世代だ
――その通りだと思います。
「アジアカップでは期待通りの結果を得られなかったが、W杯予選では無類の強さを発揮した。2024年は21年、22年、23年と比べても大きな違いがある。森保(一監督)は継続性を保ちながらチームを進化させることに成功した。今の主力たちは25~28歳だ。おそらくは日本サッカー史上最高の世代かも知れない。素晴らしいとしか言いようがない」
――森保監督が現在採用しているシステムは3-4-2-1です。それについては……。
「フランスやドイツが相手でも、同じシステムで戦えると私は思う」
――というと?〈つづく〉