ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「スクール水着でいけると(笑)」15歳の長与千種が、全日本女子プロレスから“逃げた”日…「先輩も同期も1回は逃げてる」本人が明かすウラ話
text by

堀江ガンツGantz Horie
photograph by東京スポーツ新聞社
posted2024/12/01 17:00

芸能人水泳大会に出場した際のクラッシュ・ギャルズ
長与 あの頃(新人時代)のいろんなことがなかったら、その後の私は構築されてなかったんじゃないかなって。だって、帰る場所がなかったですからね。
玉袋 親父さんが連帯保証人になった保証倒れで莫大な借金抱えて、家族がバラバラにならざるをえなかったんだもんね。
長与 だから帰る場所がないので、私の居場所はそこ(全女)しかないんですよ。だから途中からは、辛くてもどうやって楽しく過ごすかとか考えましたからね。
でも私、1回逃げたことあるんですよね
ADVERTISEMENT
玉袋 全女=カルト論っていうね。帰るとこない、そこにいるしかない人たちの集まりなんだから、狂気の集団になっちゃうよね。どんなに辛くても逃げられねえんだから。
長与 でも私、1回逃げたことあるんですよね。
ガンツ あ、そうなんですか?
長与 まだ15歳のときだったんですけど、もうしんどくて。なんでこんなにブリッジとか受け身とかやらなきゃいけないんだろうと思って、早朝に寮を出て、目黒駅から電車に乗って逃げたんですよ。羽田まで行けば、飛行機に乗れるだろうという頭があったんですけど、いつまで経っても着かなくて、目黒まで戻ってきちゃったんです。山手線がグルグル回ってるって、そのとき初めて知ったんですよ(笑)。
玉袋 長崎から出てきて、新人だからひとりで電車に乗る機会もないから、知らねえか。
長与 それでしょうがないから目黒でまた降りて、道場に戻ったら、罰として道場の前で道路向きに正座させられましたね。目の前を人が通る中、ずーっと正座です。
ガンツ いや~、なかなか基本的人権が尊重されない世界ですね(笑)。
先輩も同期も、1回は逃げてるんですよ
玉袋 それでも帰ってくるっつーのがすごいよな。
長与 私が知ってる限りだと、有名どころの人たちって1回は逃げてるんですよ。先輩もそうだし、同期もそうだし、ブル(中野)ちゃんたちもそうですし。でも観念してまた帰ってくるという。
玉袋 なーんか、逃れられない力があるんだろうな。
長与 全女の見えない力があるんでしょうね。《インタビュー第2回に続く》

