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“天才少女”と呼ばれた水泳界の逸材「玄関を開けたらカメラが…」高校1年生で五輪出場、今井月(23歳)が注目の裏で抱いていた“責任感”―2024年上半期読まれた記事

posted2024/09/30 06:00

 
“天才少女”と呼ばれた水泳界の逸材「玄関を開けたらカメラが…」高校1年生で五輪出場、今井月(23歳)が注目の裏で抱いていた“責任感”―2024年上半期読まれた記事<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto/PICSPORT

若くして注目を浴び、日本代表としてリオ五輪に出場した競泳の今井月(現在23歳)

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph by

Tsutomu Kishimoto/PICSPORT

2024年の期間内(対象:2024年5月~2024年8月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。インタビュー部門の第5位は、こちら!(初公開日 2024年7月22日/肩書などはすべて当時)。

 アスリートなら誰もが4年に一度の大舞台、オリンピックへの出場を夢見る。しかし切符は限られていて、どれだけ努力を重ねても、出られる者と出られない者がいる。

 2024年3月、競泳のパリ五輪日本代表選考会が行われた。

 その中に今井月もいた。

 競泳界で、その名を知らぬ者はいない。中学生になるやいなや「将来を背負う逸材」として大きな注目を集めると、期待に応えるように15歳でオリンピックに出場。その後長期にわたり低迷したものの、昨年鮮やかに復活を遂げ日本代表に返り咲いた。

 迎えた選考会。だが8年ぶりの大舞台への切符を手にすることはかなわなかった――。

 それからしばらくの時を経た。

「あれから水中には1回しか入っていなくて、30分も泳いでいないです。水から離れて、ゆっくり過ごしています。旅行に行ったりもしました。韓国に行ったり、友達がいるので福岡に行ったり、福井に行ったり。あまりにも時間があるので、英会話教室に通ったり、自分にプラスになるようなことをしています」

 本当ならば日々、プールで練習に精を出していたはずだった。それとはかけ離れた日常を過ごしていた。

 浮沈はありつつも、この10年の日本競泳界でたしかな存在感を示してきた今井に、これまでの歩みを振り返ってもらうとともに、パリ五輪選考会の内実と今後を尋ねた。《NumberWebインタビュー初回/全3回》

◆◆◆

 今なお、11年前の衝撃は薄れていない。

 2013年4月、日本選手権200m平泳ぎ決勝。

 このレースに大会最年少の12歳、中学生になったばかりの選手がいた。それが今井月だった。

 予選を1位で通過した今井には、決勝を前にすでに注目が集まっていた。

 迎えた決勝でも期待に違わぬ泳ぎをみせる。並みいる実力者を向こうに回して3位で表彰台に上がったのである。数々のメディアが大きく取り上げるのも無理はなかった。

中学初日、玄関の前にテレビカメラがいた

 今井には今も忘れられない光景がある。日本選手権に出場したことから、他の新入生より遅れて迎えた中学校への初登校の日のことだ。

「『行ってきます』と玄関を開けたらテレビカメラがいました。地元の局ではなくて、全国放送の番組です。事前にアポイントがあったわけではなくて、私は知らなかったし、父親もびっくりしていた気がします」

【次ページ】 五輪出場前から有名CMにも抜擢

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