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「監督なのに校歌は全力」元巨人ドラ1選手が名門校で「元プロというより教育者」な“熱血監督”になったナゼ 生徒は「野球以外の指導の方が…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/08/13 17:00
1995年のドラフトで巨人から1位指名を受けた原俊介。2021年から東海大相模の監督を務めている
そして、2年後の16年に静岡の東海大翔洋で監督に就任してから原の指導者人生が始まり、21年に母校のユニフォームを着ることとなった。
元巨人のドラフト1位。
誰もが羨む金看板を持つだけに自信家ではないのかと勝手に想像してしまうが、実際の原の声を聞くと謙虚なのだと認識が改まる。
甲子園初戦後の囲み取材でのこと。
――巨人のドラフト1位から高校野球の指導者となって苦労もあったと思うが。
インタビューではないため、深い回答を得られないと理解しつつ答えを求める。口を開いた原には「人柄」がにじみ出ていた。
「様々な人がいる、ということですよね。いいことも悪いことも様々あって、そのなかで自分はどうアクションを起こしていかなければいけないのかと考えながらやっています。生徒に関して言えば、私生活のことからちゃんとしないとダメだと言っていますし、そういう部分からちゃんと向き合ってきたからこそお互い気づきや教えもあると思っていますし、教育者としての今があると思っています」
「教育者>元プロ野球選手」という比重
原は元プロ野球選手でありながら、のちに得た肩書きである「高校野球の監督」、ひいては「教育者」に重きを置く。
前述の発言からもわかるように、原という監督は「教師にとっては“その他大勢”かもしれないが、生徒にとっては“たったひとりの先生”」という、教師が第一に胸に刻むべき生徒目線での教育を大事にしているのだろう。だからこそ原は、選手に「学校生活あっての野球」を説き、「すべての行動が学習」だと訴え続けるのである。
今年のチームでキャプテンを務める木村海達が、「元プロ野球選手」と「高校野球の監督」としての原をこのように区別する。