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「監督なのに校歌は全力」元巨人ドラ1選手が名門校で「元プロというより教育者」な“熱血監督”になったナゼ 生徒は「野球以外の指導の方が…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/08/13 17:00
1995年のドラフトで巨人から1位指名を受けた原俊介。2021年から東海大相模の監督を務めている
「たまにバッティングのお手本を見せてくれるときは、やっぱりすごいなって感じますけど、自分たちとしてはそれ以外の指導のほうがためになるというか。監督はいつも目配り、気配りをすごく言ってくださっていて、どんな場所であってもゴミが落ちていたら拾うとか、『見て見ぬふりをしない』ということを大事にするようになりました。
野球に置き換えても、自分がそうやって状況を変えていければ、まだ変わっていない人間に気づけるんで。そこで目配りをしていけば、周りも変わっていけると思いますし、チームもそうやって成長できていると思います」
東海大相模が「優勝候補」に推されるワケは…?
今年の東海大相模を「優勝候補」に推す声もある。富山商戦で7回を3安打13奪三振、無失点に抑えた、ドラフト候補の身長198センチ左腕・藤田琉生など能力の高い選手が多いが、それだけがチームの骨格を成しているわけではない。木村が紡いだように、監督が教育者として重要なことを教え、真っすぐに情熱を注ぐからこそ選手はついてくるのだ。
そんな原を象徴するのが涙である。
神奈川大会で原は、人目をはばからずに男泣きした。あまりにもインパクトが強かったこともあり、度々クローズアップされている。
夢を叶え、感極まった甲子園での“全力校歌”。そこでの感涙はあったのか?
原に尋ねると「泣いてないです!」と即座に答え、笑いながら願い出る。
「“泣き虫”とか言われてるんですけど、そこは訂正しといてください」
その涙は熱きゆえに。
原と東海大相模の感動の夏は、まだ続く。