甲子園の風BACK NUMBER
高校野球“チアの盗撮”に本音「ノースリーブとミニスカートに憧れたけど…」現地記者が聞いた「半袖が安心」「先生が応援席をパトロール」悩む現場
posted2024/08/14 17:00
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
連日熱い戦いが繰り広げられている夏の甲子園。毎年アルプススタンドで応援取材を続けていると、今年からチアリーダーのユニホームを変えた学校が多いことに気づく。それまでおなじみだったノースリーブやミニスカートが減り、野球部のユニホームと同じデザインが増えているのだ。
アルプスにいたチアの生徒によれば「今年の県大会から見かけるようになった」という。他の生徒からも「盗撮対策で野球ユニホームに変えるという他校の話を聞きました」という声が多く挙がった。
チアの本音「残念ですが…」「半袖は安心」
大阪桐蔭チアリーディング部部長の米倉るんさん(2年)は、「盗撮対策のほか、暑さ対策という意味合いもあります。春のセンバツでは黒いレギンスを穿いたのですが、夏にレギンスは暑いので、ショートパンツのほうが快適です」と話す。
「以前はノースリーブでしたが、野球ユニホームは半袖なので、安心して踊れます」と話すのは、木更津総合チアリーディング部の庄司柑菜さん(2年)。「ノースリーブとミニスカートに憧れてチアをはじめたので、甲子園で着られないのは残念ですが……野球ユニホームも『かわいい』と言われることが多くてうれしいです」と笑顔で話してくれた。
ほかにも、「野球部と一体感が生まれてとても気に入っている」という声や、「野球部OBが資金を出してチアの野球ユニを作り、プレゼントしてくれた」というケースも。
とあるチアリーディング部の顧問に聞くと、「ノースリーブとスカートをやめても心配なのは変わらない。今でもたまにカメラを構えている人がいるので、見かけると声をかけるようにしています」と話す。
トップスは白い野球ユニホームだが、ボトムスには赤いスカートを組み合わせていた日本航空は、「県大会ではショートパンツだった」というが、今大会ではあえてスカートに変えた。チアにとっても甲子園は夢の舞台。「かわいいユニフォームで踊りたい」という声が根強いのは当然のことだろう。
ちなみに、甲子園で出番が減ったノースリーブ&ミニスカートのユニホームは、「文化祭や体育祭などの学校行事で着用する」という学校が大半だった。
「スカートを履きたいという声も多かったが…」
筆者は10年前からアルプススタンド応援を取材しているが、数年前までチアや応援席の周りには、カメラを構えた一般客が大勢いた。内野席のフェンスには何十台ものカメラが設置され、吹奏楽部の演奏を撮影する様子も散見された。
しかし、このような姿はこの夏ほぼ消えた。あれだけいた撮影者はなぜいなくなったのだろうか。