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「今までは(林下)詩美さんに頼ってしまっていた。でも…」大ケガからの復帰、盟友の新団体移籍…“スターダム残留”を選んだ上谷沙弥のホンネ 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2024/05/22 11:11

「今までは(林下)詩美さんに頼ってしまっていた。でも…」大ケガからの復帰、盟友の新団体移籍…“スターダム残留”を選んだ上谷沙弥のホンネ<Number Web> photograph by Essei Hara

5月18日、ハイスピード王座の初防衛に成功し、ベルトを掲げる上谷沙弥。この春に新調した“赤いコスチューム”に込めた思いとは

「あのケガをきっかけに視野に入れたベルトなんです」

 上谷は4月27日に横浜BUNTAIで新ハイスピード王者になった。王者は鹿島沙希だったが、4WAYマッチという変則試合で、フキゲンです★をフォールしてベルトを手にした。

「久しぶりのシングルのタイトルなのでうれしかった。ハイスピードというと、小柄で足が速い選手が争っているイメージがあった。でもあのケガをきっかけに視野に入れたベルトなんです」

 確かにハイスピード王者といえば、AZMやコグマ、スターライト・キッド、鹿島沙希、星来芽依らが目まぐるしく動き回るイメージだった。

「今までの固定観念を取り払って、自分がでかくても動けるというのを見せたい。ハイスピードと言えばAZMさん。でも筋肉の飯田沙耶が挑戦してくれて、みんなが挑戦しやすくなったと思います。新しいハイスピード像を作っていきたい」

 5月18日、横浜武道館で飯田を押さえ込んで初防衛に成功した。飯田は特別な相手だった。デビューした頃からタッグを組んでいた。シングルでのタイトルマッチで戦うのは初めてだった。

「ハイスピードフェニックス。速くて、華麗で、そして情熱的で。でもそんな試合ができたのは相手が飯田沙耶だったから。それは間違いない。私たちの可能性は無限大で、なんだってできるし、なんにだってなれる。お前の行く道すべて、私が立ちはだかってやるから、今日みたいな熱い戦い、またやろう」

 上谷は「情熱的」という言葉を使った。

「腕の脱臼の部分はもう痛くありません。その時に痛めた肩が天気によって少し痛かったりしますけど……。ワンダー王座(白いベルト)の時は最多防衛という記録を意識していたんですが、今回のハイスピードは1試合1試合、お客さんの印象に残る試合をしたいと思っています」

【次ページ】 アメリカでWWEを生観戦「違う次元のものを見ました」

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