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「仕事しづらいと思ったことはない」JRAの場内実況を担当したアナウンサー・藤原菜々花の夢「女性が実況するメリットを見つけたい」
posted2024/03/24 17:02
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Hirofumi Kamaya
3月3日に女性アナウンサーとして史上初めてJRAの場内実況を担当したラジオNIKKEIアナウンサー・藤原菜々花(26歳)。これまで“男性社会”と言われてきた競馬界で初の実況を終えた彼女に、「実況という仕事に性差はあるか?」を聞いた。《NumberWebインタビュー第2回/前編から続く》
「競馬の実況中継ができればどのスポーツの実況でも大丈夫」
そんな言葉を聞いたことがある。
レースによって頭数は異なれど、十数頭がスタートしゴールを目指す。かたまりとなって進むことがあれば、先頭から後方までばらけることもある。いずれにせよ、走るサラブレッドの位置関係を随時把握し伝えるのは簡単ではない。最後の直線は競り合いが激しくなる。先頭が入れ替わることもあれば、後方から一気に追い込んでくる馬もいる。数頭の激しい先頭争いだって起こる。馬名を間違えず、展開も含め正確に描写しなければならないのだ。
入社面接で問われた「覚悟はありますか?」
しかも競馬には馬券という存在がある。
3月3日、JRA(日本中央競馬会)史上初めて女性として場内実況を担当したラジオNIKKEIアナウンサー、藤原菜々花も言う。
「プレッシャーはやっぱり常にありますね。馬券が絡んでいる以上、そこはやっぱり他のスポーツの実況とだいぶ異なるなっていう。お金がかかっているので、例えばその馬が勝っていないのに勝ったかのように実況をして、馬券を握りしめている方が喜んで、やっぱ違いましたとなったら、その方にとってはとんでもなく怒る出来事だと思います。プレッシャーは常にありますね」
プレッシャーゆえに実況中継の任に耐えられなかったアナウンサーもいるという。
極めて高い難易度と専門性を持つ競馬実況を担う藤原は、入社前は競馬をまったく知らなかったという。その点でもハードルは高かったはずだ。それでも臆せず挑んだ。
「面接の段階で『もし君が入社したら実況をしてほしいと思っているけれどその覚悟はありますか』と質問はされていて、ためらいなく『やります』と答えた記憶があります。フィギュアスケートや野球、ラグビーが好きだったのでスポーツの実況は憧れがありました。チャンスをもらえるなんて思っていなかったのにいただいて、チャンスをいかしたいと思いました」