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「仕事しづらいと思ったことはない」JRAの場内実況を担当したアナウンサー・藤原菜々花の夢「女性が実況するメリットを見つけたい」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byHirofumi Kamaya
posted2024/03/24 17:02
3月3日、女性アナウンサーとして史上初めてJRAの場内実況を担当した藤原菜々花
将来の夢は“牝馬GI”の実況
描いている目標がある。
「ゆくゆくは牝馬のGIレースを担当できたらいいな、女の子限定のGIが持つ特有の華やかさをお伝えするお手伝いができたらなっていうのは夢として描いています」
JRA史上初の女性による場内実況を成し遂げて、パイオニアとして捉える向きもある。藤原はうなずき、こう語った。
「パイオニアに、とか先駆者に、という言葉をかけていただくこともあって、ただあまりそこは考えたことがないというか。でも『自分もできる』と思って夢を追いかける方々がいたらそれはすごく素敵なことなので、そういう方々の力に少しでもなれたらうれしいなって思っています」
3月3日の場内初実況からおよそ2週間。3月16日、中山競馬2レースの3歳未勝利戦で藤原は再び場内実況を担当した。
「4コーナーをカーブ、最後の直線です。3番、ミツカネジェミニが先頭、2番手は……」
テンポを上げつつ、外から来る馬もしっかりおさえながら、ゴールまで伝えきった。
ゴール後の実況でも勝ち時計、着順、勝利したミツカネジェミニ鞍上の騎手名、パイロ産駒であることなど、落ち着いて伝えた。
4コーナーを周って直線に入ってからの描写もさることながら、「頭が真っ白になった」あの日とは対照的な、ゴール後の的確な情報を含んだ実況に3月3日から重ねたであろう努力のあとがあった。
それは広がる未来をも思わせた。