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王国ブラジル“まさかのパリ五輪予選敗退”だが…世間は意外と無関心? W杯と自国開催大会以外「そんなに本気じゃない」国民性なワケ 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2024/02/18 11:01

王国ブラジル“まさかのパリ五輪予選敗退”だが…世間は意外と無関心? W杯と自国開催大会以外「そんなに本気じゃない」国民性なワケ<Number Web> photograph by AFP/JIJI PRESS

五輪2大会連続金メダルのブラジル代表がパリ切符を逃した。ただし国内の反応は日本から見ると意外に映るかもしれない

 これまでブラジルは自国で6回開催しており、うち5回で優勝している。自国開催時の優勝確率は、約83%にも及ぶ。これに対し、他国で開催された41大会で優勝したのは4回だけで、優勝確率は10%足らず。簡単に言えば「自国開催の大会では何が何でも優勝を目指すが、それ以外の大会では本気で優勝しようとは思っていない」のである。

 そして、このことに関して国内メディアからも国民からも大きな批判は出てこない。

「大陸選手権とW杯は別物」と割り切っている

 セレソンに対しては非常に厳しい国なので、敗退した直後はそれなりの批判はある。しかし、ワールドカップ(W杯)で敗退したときと比べると批判の激しさ、執拗さがまるで違う。それは、メディアも国民も「一番重要なのはW杯であり、それにつながるW杯南米予選。コパ・アメリカの重要度はその下」と考えているから。

 これまでブラジルは58年と62年、70年、94年、02年のW杯5大会で優勝しているが、そのすぐ前のコパ・アメリカの成績は57年=準優勝、59年=3位、67年=不参加、93年=6位、01年=6位だった。「コパ・アメリカとW杯の成績がリンクしていない」のは明らかだ。

 このような歴史的な経緯もあって、ブラジルでは「敗因は熱量の差かどうか」という論議などするまでもなく、すでに数十年以上前から極めて自然に「大陸選手権とW杯は別物」と割り切っている。何事にも完璧を求める日本人とは異なり、「いつもいつも完璧じゃなくてもいいよな。肝心なところで結果を出せばいいんだろう」という大雑把にして大胆な国民性の発露、と言ってもいいだろう。 

 アルゼンチンの場合も、これまで78年、86年、22年のW杯3大会で優勝しているが、その前のコパ・アメリカの成績は75年=GS敗退、83年=GS敗退、21年=優勝だった。

 南米全体では、過去47大会のコパ・アメリカで優勝してその後のW杯でも優勝したケースは、21年コパ・アメリカと22年W杯を制覇したアルゼンチンしかなく、約90%はリンクしていない。

 中堅国では、53年コパ・アメリカで初優勝したパラグアイは54年W杯南米予選で敗退しているし、自国開催の63年に初制覇したボリビアも、66年W杯は南米予選で敗退。75年に優勝したペルーは78年W杯で8位と健闘したものの、01年に自国開催で優勝したコロンビアは翌年のW杯は南米予選で敗退。16年優勝のチリも、2年後のW杯には南米予選で敗退している。つまり、自国開催で周到な準備を重ねて首尾よく優勝したとしても、それが長期的な強化につながったケースは極めて少ない。

五輪切符を逃したが、国民感情は意外と…

 ブラジルの場合、W杯以外の成績をあまり気にしないのは年齢別の国際大会でも同様だ。

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