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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
王国ブラジル“まさかのパリ五輪予選敗退”だが…世間は意外と無関心? W杯と自国開催大会以外「そんなに本気じゃない」国民性なワケ
posted2024/02/18 11:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
AFP/JIJI PRESS
「アジアの強豪国に関して言えば、アジアカップの成績とその後のW杯の成績にほとんど関連がない」ことが、第1回で調べた事実として確認された。
それでは、世界の他の大陸選手権ではどうなのか。
EURO→W杯でともに優勝を果たしたパターンは2例だけ
世界の大陸選手権のうち、最もレベルが高く、参加国が最も真剣に取り組み、価値があるとみなされるのがユーロ(欧州選手権)だろう。
1960年に創設されて以降の各国の優勝回数は以下の通り。
・3回:ドイツ(西ドイツ時代含む)、スペイン
・2回:イタリア、フランス
・1回:ロシア(ソ連時代)、チェコスロバキア、ポルトガル、オランダ、デンマーク、ギリシャ
欧州選手権とW杯の開催年のズレは常に2年だが、ユーロを制覇した国が2年後のW杯も制覇したケースは過去16大会で72年西ドイツ、08年スペインの2つしかない。言い換えれば、「欧州選手権を制覇した国は、2年後のW杯で87.5%の確率で優勝できない」のである。逆に、ユーロ覇者がW杯欧州予選で敗退したケースが3つもある(76年チェコスロバキア、92年デンマーク、04年ギリシャ)。
つまり「欧州においても、大陸選手権での優勝は必ずしもW杯での好成績に直結しない」のである。
大陸選手権の中でユーロに次いでレベルが高いのが、コパ・アメリカ(南米選手権)だろう。1916年に創設された世界最古の大陸選手権で、これまで47回開催された。優勝回数は以下の通り。
・15回:ウルグアイ、アルゼンチン
・9回:ブラジル
・2回:パラグアイ、チリ、ペルー
・1回:コロンビア、ボリビア
一方、W杯での優勝回数はブラジルが5回、アルゼンチンが3回、ウルグアイが2回。すでにこれだけでも、コパ・アメリカでの成績とW杯での成績が直接、リンクしていないことがわかる。
“自国開催以外”のブラジルは本気じゃない?
ブラジルがウルグアイとアルゼンチンよりコパ・アメリカでの優勝回数が少ないことには、少なくとも2つの理由がある。
1930年代までウルグアイ、アルゼンチンとは実力で大きく劣っていたこと、そして自国開催以外の大会ではたいていベストメンバーを組まず、準備もおざなりで「それなりに頑張るが、負けてもやむなし」という態度で大会に臨んでいたからだ(実はこの傾向は現在まで続いている)。