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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
王国ブラジル“まさかのパリ五輪予選敗退”だが…世間は意外と無関心? W杯と自国開催大会以外「そんなに本気じゃない」国民性なワケ
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAFP/JIJI PRESS
posted2024/02/18 11:01
五輪2大会連続金メダルのブラジル代表がパリ切符を逃した。ただし国内の反応は日本から見ると意外に映るかもしれない
U-17代表まではほぼベストメンバーで臨むが、U-20代表となると10代でもクラブで貴重な戦力となっている選手がいるし、欧州でプレーしていてクラブが招集に応じない選手もいる。U-23代表ならなおさら、ベストメンバーを組むのが難しくなる。
ブラジルは2016年リオ、2020年東京(実施されたのは2021年)の五輪で連覇を遂げているが、先月から今月にかけてベネズエラで開催されたパリ五輪南米予選で3位となり、2位までに与えられる五輪出場権を逃した。しかし、この大会とて欧州でプレーする選手の一部を招集できなかったし、準備期間も短かった。地元メディアからは厳しい批判も出たが、国民は大きな関心を抱いていなかった。
そもそも五輪連覇といっても、自国開催の2016年リオ五輪だけはベストメンバーを選び、オーバーエージ枠でもネイマールらほぼベストの選手を招集したが、2021年東京五輪はベストメンバーを招集できなかった。結果として連覇を達成したわけだが、準決勝メキシコ戦は延長戦の末にPK戦勝利、決勝のスペイン戦も延長戦での勝利で、勝つべくして勝ったわけではなかった。
さて、日本代表はどうすべきか
大陸選手権は、その地域の王者を決める重要な大会であるのは確かだ。大会への準備を含めて、チーム強化に役立つのは間違いない。しかし、その反面、大陸選手権で好成績を残したとしてもそれが必ずしも永続的な強化につながるとは限らない。
W杯のGSで同じ大陸の国と対戦することは、欧州以外の国ではなかなかない。対戦相手のほとんどが別の大陸のレベルも特徴も異なる国であることも、両大会の関連性を薄めている。
このように考えると――「アジアで絶対的な強さを発揮できないようでは、W杯での好成績など望むべくもない」とは必ずしも言い切れないのではないか。
目標とするのが「アジア杯での優勝回数や好成績」ではなく「W杯における好成績」なのであれば、日本代表はアジア杯の成績に必要以上にこだわることなく、大局的、世界的、長期的な視野から強化を図るべきではないか。ただ、その大前提として「真の世界的なフットボール強豪国になるための覚悟」を本気で持つ必要がある、とも考えている。
<第1回につづく>