メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
カブス・今永昇太はなぜ“面白いように”空振りが取れる?「防御率0.84」快進撃の秘密を五十嵐亮太が解き明かす「下から浮き上がるイメージ」
posted2024/05/20 17:02
text by
五十嵐亮太Ryota Igarashi
photograph by
Getty Images
今永のピッチングスタイルの変化とは
5勝0敗、メジャートップの防御率0.84という数字を残している今永投手。期待を上回る、と言っては失礼かもしれませんが、本当に素晴らしい活躍を見せています。
彼のピッチングスタイル自体は、開幕から終始一貫しています。特徴をひとことで言えば「ファーストボールは高め。低めには絶対に投げない」ということ。高めのフォーシームで空振りやファウルを奪ってカウントを有利に進め、スプリット、スライダーなど低めの変化球を組み合わせていくピッチングを徹底しています。
しかし、彼が元来「まっすぐ高め」で勝負するピッチャーだったか、というと決してそうではありません。ベイスターズ時代では見られなかったスタイルであり、メジャーの打者を抑えるために自分の特徴をどう活かすか、というところで見出したものだと言えます。
僕は2月にカブスのキャンプで取材させてもらったのですが、実はその時点から徹底的に「高め」を意識してフォーシームを投げ込んでいましたし、このスタイルでメジャーに挑むということをはっきりイメージしていることがわかりました。おそらく、カブスのピッチングコーチやコーディネーターが彼の良さを最大限に引き出すプランを明示していたのだと思います。
キャンプの時点でこうしたプランを立て、オープン戦の間に色々と試行錯誤して、開幕した時にはある程度それが出来上がっていた。もちろん、彼がそこに投げ切れるコントロールがあることが凄いのですが、こうした「抑えるための形」をチーム、スタッフ共に早い段階から共有していたことも、開幕から迷わず快進撃を続ける要因であるだろうと思います。
なぜ、メジャーの打者を翻弄できるのか?
そもそも、なぜ今永投手の高めのフォーシームがメジャーの打者をここまで翻弄するのでしょうか。