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野村克也もアメリカ人監督も絶賛した“世界1位の日本人”「401奪三振」「ど真ん中でも打てない」じつはメジャー挑戦していた“江夏豊の伝説” 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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posted2024/01/01 11:03

野村克也もアメリカ人監督も絶賛した“世界1位の日本人”「401奪三振」「ど真ん中でも打てない」じつはメジャー挑戦していた“江夏豊の伝説”<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

1985年「たった一人の引退式」(Number主催)に向かう際の江夏豊

 アリゾナで行われたブルワーズのキャンプに参加した江夏は、投手だけで30人ほどもいる中で最後まで生き残り、最終1枠を若手投手と争ったが、最終テストで打ち込まれて力尽きた。こうして江夏は現役キャリアに幕を下ろした。

現王者・山本由伸と比較…どちらがNo.1か

 今なお伝説的投手と語り継がれる豪腕は、「日本プロ野球史上No.1投手」といえるか。先発投手としての江夏のベストシーズンは、401奪三振を記録して沢村賞に輝いた1968年。この年の江夏と、当企画の現チャンピオン山本由伸(2021年)との勝負である。 (赤字はリーグ最高、太字は生涯自己最高)

【1968年の江夏】登板49、完投26、完封8、勝敗25-12、勝率.676、投球回329.0、被安打200、奪三振401、与四球97、防御率2.13、WHIP0.90

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【2021年の山本】登板26、完投6 、完封4、勝敗18-5、勝率.783、投球回193.2、被安打 124、奪三振206、与四球40、防御率1.39、WHIP0.85

 当企画で重視する打者圧倒度――1試合あたりの被安打数、9イニングあたりの奪三振率、防御率、WHIP――を見ると、被安打数は、江夏の5.47に対して山本5.76とわずかに江夏リード。奪三振率は、江夏の10.97に対して山本9.57と、ここはさすがに江夏が圧倒。防御率は、江夏の2.13に対して山本1.39と、これは山本が大きくリード。WHIPは江夏の0.90対山本0.85とわずかに山本が勝る。従い、この4項目では2勝2敗の五分となり、判定勝負になる。どちらが打者を圧倒していたといえるのか。

 WHIPに対して防御率に大きな差があるのは、被本塁打率の違いが影響している。江夏が1試合当たり0.79本被弾しているのに対して、山本はわずかに0.33本。1試合当たりの四球数でも、江夏の2.65に対して、山本1.86と山本が勝る。多彩な球種を正確なコントロールで低めに集めて本塁打を打たれない――それが山本の投球スタイルといえる。

 一方、江夏はストレートとカーブだけというシンプルな投球ながら、圧倒的な球威で世界記録となる三振の山を築き、1試合当たりの被安打率でも山本を上回った。三振を奪い、ヒットを打たれない――打者を圧倒したという点では、江夏が勝ると言えるのではないか。

 さらに、当企画では時代の違いによるところが大きい登板数、完投数、勝利数、投球回数は重視しないが、今回のように成績が拮抗した場合、チーム試合数の37%に登板した江夏と、18%の山本では、コンディショニング面も考慮するのがフェアだろう。

 以上から、チャンピオン交代で江夏を新チャンピオンとしたい。

#16に続く
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