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年俸270万円が今や“20億超え”…メッツ千賀滉大の逆転人生「なぜ無名の高校生がスカウトされた?」山本由伸と比較する“どちらが最強か”
posted2023/11/14 06:00
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph by
Getty Images
球史に残る大投手の生涯ベストシーズンの成績を比較して、日本プロ野球史上No.1投手を探る旅。沢村栄治、江川卓、ダルビッシュ有、野茂英雄らに続く第14回は、「育成の星」千賀滉大(メッツ)だ。メジャー1年目でいきなり12勝を挙げ、ナショナルリーグ新人王の最終候補にも選ばれた千賀が、当企画の現チャンピオン・山本由伸に挑む。
年俸270万円から20億超えに…千賀の歩み
2010年ドラフト会議で97選手中91番目の育成選手として指名され、ソフトバンク三軍でプロキャリアをスタートした千賀は、数々の“育成出身投手初”の記録を打ち立てた。
17年に育成出身として初めてオールスターのファン投票先発投手部門1位に輝き、オールスター先発投手に。同年の日本シリーズ開幕投手、19年のノーヒットノーラン達成、投手部門のゴールデン・グラブ賞、ベストナイン選出も育成投手出身初の快挙だった。
20年には、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手三冠を達成。22年のオフシーズンにメッツと5年7500万ドルの契約を結んで、ついに育成初のメジャーリーガーにまで昇りつめた。
この間の年俸は、初年度の育成契約270万円から20億円超え(5年総額7500万ドル)へ。実に12年で800倍以上も跳ね上がったのだ。
千賀はなぜ急成長を遂げられたのか。大きく3つの要因が挙げられるだろう。
なぜ急成長? 理由1)入団時の伸びしろ
急成長の秘密その1は、プロ入団時点で原石の状態――そのキャリアからわかるように、伸びしろが残されていた点にある。中学軟式野球から公立蒲郡高校(愛知)と無名校の出身。さらに中学では内野手で、高校生になって投手に抜擢されたものの、成長痛や膝痛に悩まされてほとんど登板機会がなかった。ようやくエースとして出場した3年夏の地方予選は3回戦止まりである。