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J3降格濃厚…大宮アルディージャの低迷は避けられなかったのか? 相次ぐ監督交代と主力放出で失ったもの「誰からも具体的な目標が提示されず…」

posted2023/11/16 17:00

 
J3降格濃厚…大宮アルディージャの低迷は避けられなかったのか? 相次ぐ監督交代と主力放出で失ったもの「誰からも具体的な目標が提示されず…」<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

10月7日、レノファ山口FC戦後のNACK5スタジアム大宮。連勝で残留に望みをつないでいたが、第40節から3連敗を喫して21位でシーズンを終えた

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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Masashi Hara/Getty Images

 5、3、15、16、19、そして21である。

 大宮アルディージャがJ2で戦ってきた2018年以降の順位だ。

 今シーズンは22チーム中21位に終わった。12月2日に終了するJ3リーグで、J2ライセンスを保有するチームが2位以内を占めると、大宮のJ3降格が決定する。その可能性は濃厚だ。

監督交代による“リセット”の弊害

 2005年から14年までJ1で戦った大宮は、J2降格と1年でのJ1復帰を経て16年にJ1で5位に食い込んだ。そうした残像があるからなのか、大宮の低迷は驚きをもって伝えられる。

 しかしながら、20年からは右肩下がりに順位を落としていた。J3降格の危機は、かねてから迫っていたのだ。

 21年、22年、そして23年と、3年連続でシーズン中に監督が代わっている。監督が代われば、サッカーが変わる。システムが同じでも、攻め筋や守り方は変わってくるものだ。選手はそのたびに頭のなかをリセットし、新しい戦術を身につけなければならない。

 J2は日本代表の国際Aマッチに伴う中断がない。シーズン中の監督交代はただでさえ難しいうえに、これだけ監督が代わったら、サッカーの方向性はどうしたって揺らいでしまう。

 実際のところ、ここ数年のチームの特徴を問われたら、抽象的な答えしか用意できない。そして、チームの中心は誰なのかについても、答えに窮してしまう。

 18年オフを起点に、主力を放出していった。同年のJ2で12ゴールをあげたブラジル人FWマテウスが名古屋グランパスに移籍し、翌年には18年J2得点王の元U-19日本代表FW大前元紀、19年チーム最多得点のFWフアンマ・デルガドらがチームを去った。彼らアタッカー陣だけでなく、DFやMFもJ1やJ2の上位クラブへ流出していく。育成型を掲げるようになったクラブは、J1昇格への意欲が伝わるような補強に消極的だった。

 今シーズンは左サイドバックの人材に不安があった。レギュラーだった小野雅史がモンテディオ山形へ完全移籍し、左右両サイドでプレーできる茂木力也、大卒ルーキーの鈴木俊也のふたりが左SBを担うこととなった。

 鈴木はシーズン開幕直後のケガなどもあり、わずか1試合に途中出場しただけでシーズンを終えた。茂木は41試合出場と奮闘したものの、左SBのスペシャリストではない彼のフル稼働が、茂木自身にとっても、チームにとっても最適解だったのか。

 左SBはどのチームも人材を求めるポジションだが、J2優勝でJ1自動昇格を決めたFC町田ゼルビアは翁長聖が、2位でJ1への扉を開いたジュビロ磐田は松原后が、シーズンを通してクオリティを示した。小野は山形で38試合に出場し、チームのJ1昇格プレーオフ進出に貢献している。大宮のチーム編成は、J1昇格を本気で目指したものだったのか。

【次ページ】 新体制発表会見でのつまずき「具体的な目標が…」

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