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J3降格濃厚…大宮アルディージャの低迷は避けられなかったのか? 相次ぐ監督交代と主力放出で失ったもの「誰からも具体的な目標が提示されず…」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2023/11/16 17:00
10月7日、レノファ山口FC戦後のNACK5スタジアム大宮。連勝で残留に望みをつないでいたが、第40節から3連敗を喫して21位でシーズンを終えた
選手たちにも甘さが「どの試合を振り返っても…」
大切なのはクラブとしての明確な目標とその実現へ向けたチーム編成であり、クラブを取り巻く熱量だろう。苦境や難局を乗り越えるためには、フロントやサポーターが歩調を合わせる必要があり、それが熱量を生み出す。
もっとも、熱量が沸き上がるそもそもの要因は、チームを支えたいという思いだろう。そう考えると、選手たちの姿勢を問いたくなるのだ。甘さがあったのではないだろうか。
CBとして29試合に出場した浦上仁騎は、最終節後に自分たちの力不足を口にした。育成組織出身の彼は東洋大学を経てJ3の長野パルセイロでプロデビューを飾り、ヴァンフォーレ甲府を経て今シーズン古巣に加入した。
「今日のヴェルディ戦も前半は0対0で、後半に失点するまではいいゲームができていたと思ってもらえるかもしれないですが、中身を見ると相手のほうがダッシュで戻っているとか、球際で奪っているとか、見えづらい部分で相手に分がありました。どの試合を振り返っても、そういうところがありました」
プロ5年目の27歳はクラブへの忠誠心が強い。それだけに、結果に対する責任を感じていた。
「いま奪われちゃいけないとか、苦しいけど守らなければいけない時間とか、ホントにちょっとしたことでゲームは変わる。ひとつのイージーなパスミスで、流れが相手にいってしまう。そういう試合も何試合もありました。そこを最後の最後まで改善できなかった。僕自身も力不足がかなりあります」
キャプテンの富山貴光は、最終節のセレモニーでマイクの前に立った。辛辣な横断幕が掲げられ、ブーイングを浴びるなかで、「僕たちはまだまだ未熟です。クラブとしてもチームとしても、これが現状の力です」と頭を下げた。2013年に加入した32歳のFWは、J1で戦っていた大宮を知る。当時との違いを聞かれると「単純な比較はできませんが」と切り出し、「とにかく」と続けた。
「チームとしても個人としても、まだまだ成長しなきゃいけない部分が多い。クラブもチームも、やらなきゃいけないことは山ほどあります。それを一つずつ、乗り越えていくしかない」と話した。
クラブが明確なビジョンを描き、チームが結果を残していく。
変わるなら、いましかない。
いま変わらなければ、負の連鎖から抜け出せない。