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高橋ヒロムとエル・デスペラードは「ライガーの時代」を超えられるのか? “新日ジュニアの2トップ”がFREEDOMSに参戦した“本当の意義”
posted2023/08/18 17:08
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
新日本プロレスの高橋ヒロムとエル・デスペラードは、IWGPジュニアヘビー級選手権や『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』(BOSJ)の優勝決定戦をはじめ、ことあるごとに激しくぶつかり合ってきた。どちらも現在の新日本ジュニアを代表する存在だ。
そんな2人が8月11日、プロレスリングFREEDOMSの横浜武道館大会に参戦した。「自由人達の狂宴」と銘打たれたリングでのそれぞれの戦いには、新日本のリングではなく、対戦相手も新日本の選手ではないということもあり、いつも以上に2人の歩みの違いが表れているようだった。
「ライガーの作り上げた時代」を超えるために
高橋は高岩竜一とタッグを結成し、ドラゴン・リブレ、香取貴大のダムズジュニア組の前に立ちはだかった。
この試合が実現したきっかけは、リブレから高橋へのラブコールだった。高橋はFREEDOMSの新木場1stRING大会に来場し、ラジオやSNSで何度も自身との試合を求めていたリブレの真意を確かめるべく、こう語った。
「俺は自分の価値を理解してる。だからこそ、お前とやるのはまだ早すぎるんだよ」
高橋は2020年1月5日の東京ドームで獣神サンダー・ライガーの引退試合の相手を務めた。ライガーは佐野直喜と、高橋はリュウ・リーと、それぞれ自身のキャリアにおけるライバルの筆頭とタッグを結成した。
試合は高橋がTIME BOMBでライガーから3カウントを奪取。首の怪我による長期欠場から復帰したばかりの“赤髪の時限爆弾”は、前日の「1.4」でウィル・オスプレイからIWGPジュニアのベルトを奪取したうえで、ライガーというジュニアの象徴に引導を渡した。
この2日間の試合結果は、高橋の、ジュニアへの愛と決意の表れのようだった。新たな“ジュニアの顔”は試合後、「ライガーという存在は超えられない」としつつ「あの人の作り上げたジュニア、その時代は超えようと思う」と口にした。
それから3年半。大胸筋断裂という大怪我もあったが、IWGPジュニアのベルトは2020年の「1.4」でオスプレイから奪取したものも含めると3度獲得し、BOSJは3連覇。誰が見ても文句のつけようのない実績を伴って、新日本ジュニアの頂点に君臨し続けてきた。
新木場のリングで、高橋はリブレにこう続けた。
「俺と戦いたい理由はなんだ? 返答次第じゃ、答えはノーだ」
リブレの返答はこうだ。
「あなたを倒して、ダムズジュニアをさらにレベルアップしてみせます」