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高橋ヒロムとエル・デスペラードは「ライガーの時代」を超えられるのか？ “新日ジュニアの2トップ”がFREEDOMSに参戦した“本当の意義”
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/08/18 17:08
FREEDOMSの横浜武道館大会に参戦したIWGPジュニアヘビー級王者の高橋ヒロム。エル・デスペラードとともに“ジュニアの熱”を他団体に広めている
「彼らが（FREEDOMSのジュニアのシングル）チャンピオンにならないと話にならないですよ。それが最低ラインだと思っています。ナメてるわけではなくて、俺にはIWGPジュニア王者としてのプライド、新日本プロレスとしてのプライドがあるんです」
そしてもうひとつ付け加えた。
「高橋ヒロムの名前を、この先もずっと出し続けるように言っといてください」
もっと楽しむためには、自分と戦えるステージまで上がってきてもらわなければならない。リブレや香取がこの日突きつけられた大きすぎる差を詰めて、再び高橋の前に立てたならば、それは“夢が現実に近づく時”であり、「ライガーが作り上げた時代」を超えることに近づいている証左でもあるのだろう。
“間に合わなかった男”エル・デスペラードの覚醒
もちろん、業界全体の盛り上がりには、新日本ジュニア内部での激しい争いも欠かせない。
ライガーの引退試合の時点では、高橋のライバルといえばリーだった。「ライバル同士がタッグを結成する」という構図の試合に、デスペラードは名を連ねなかった。
「選手としてのクオリティが間に合わなかった。本当は俺がそこに行かなきゃいけなかった。俺は間に合わなかった」
2021年の年末、翌年の東京ドーム大会に向けた記者会見で、王者として高橋を迎え撃つことになったデスペラードはそう語った。
「もう俺は間違えない。去年のBOSJでヒロムが『俺たちの時代を見せよう』と言ったけど、新日本ジュニアの未来を見せる。俺自身の未来を掴むためにも、俺が勝って、俺の未来を開く」
その試合で、デスペラードは高橋に勝利した。
「俺の夢を叶えるには、デスペラード、お前とやりたい。ずっと、俺の前にいてくれ」
敗れた高橋はそう口にしている。
もし、ライガーの引退試合が今行われるならば、高橋の隣にはデスペラードがいただろう。しかし、あの時タッグを組まなかったからこそ、2人の道はよりハッキリと異なるものになった、と見ることもできる。
