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「体操教室で靴飛ばしも…」佐藤弘道が実践する“負ける子を作らない”教育法…40代で大学院へ、“体操のお兄さん”のセカンドキャリアが凄かった
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph byShiro Miyake
posted2023/08/25 11:03
元・体操のお兄さんとして現在も体操指導などの活動を続ける佐藤弘道さん。「おかあさんといっしょ」初出演から、今年で30周年
――ご自身も息子さんと親子体操を続けてきたとのことですが、息子さんたちも、やはりスポーツはやっていたんですか?
弘道さん 柔道、極真空手、野球、体操、フットサル、ヒップホップダンスと、いろいろやっていました。子ども自身がやりたいといったことに関しては、「最低でも1年は続けようね」と目標を設定し、1年経った時に続けるかやめるかを話し合い、子ども自身が自分に向いているのかいないのか判断させていました。やっぱり、適性はあると思うし指導者との相性もある。それを子ども自身が判断することが大事だと思っています。
佐藤さんが「しつけの基本は家庭」と考える理由
――お子さんにはけっこう厳しいパパでしたか?
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弘道さん 小さい頃はすごくしつけに厳しかったですね。食事のマナーや箸の持ち方とか、細かいことまで注意していて。でも、あるとき、息子に「パパと一緒にご飯食べたくない。怖いから」って言われちゃって。すごくショックで、以来とにかく楽しく食べようと決めて、細かいことには目をつぶるようになりました。
とはいえ、やはり家庭でのしつけは大事だと思います。レストランで子どもが走りまわったりしちゃうのも、家できちんと教えられていないから。放任と放置は違う。幼い頃は手を離してはダメだし、手を離せる年齢になってからも目を離してはダメ。手も目も離していると、最終的に心がつながらなくなっちゃうんです。
――しつけの基本は家庭、ということですね。
弘道さん そうです。幼稚園や保育園、学校は集団教育をする場であって、しつけをする場じゃない。でも、サービス業に徹してしまうような幼稚園や保育園もあって、「食事のマナーもしつけます」みたいなことを謳い文句にしていたりするんですが、それは本来家庭でやることだと思う。
なぜなら、子どものしつけをしながら、親も育っていくから。僕も妻も、試行錯誤して息子たちをしつけ、育てていく過程で親になっていったと思っています。すべてを園任せにしていると、親が育たないんですよ。保育園や幼稚園の先生に向けた講演会などをやることもあるのですが、そこでも「しつけは家でやってもらうようにしましょう」と言っています。
――今は共働き家庭が多く、時間的にも精神的にも余裕がない親はたくさんいると思います。
弘道さん そうですよね。ただ、忙しい日常の中でも、子どもとコミュニケーションを取る工夫をしてみてほしいなと思います。僕も仕事で地方にいったり、帰宅が遅くなることが多く、いつも息子たちと一緒にいられたわけではなかったですが、なんとかコミュニケーションをとれるように工夫していました。
その一つが交換日記です。その日あった出来事をノートに書いてもらって、僕が返事を書く。それを中学生になるまで続けていました。