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「死んじゃうんだな」部活中の大ケガ…佐藤弘道55歳が“ドクターストップ”を宣告された高校時代「おかあさんといっしょにも役立ちました」
posted2023/08/25 11:02
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph by
Shiro Miyake
◆◆◆
――やはり子どもの頃から運動は得意でしたか?
佐藤弘道さん(以下、弘道さん) 物心ついた頃から体を動かすことは大好きで。運動会はリレーに出たり、騎馬戦の大将をやったり。自分でいうのもなんだけど花形選手でした(笑)。
――体操をはじめたきっかけは?
弘道さん 幼稚園の頃から柔道を習っていたんですが、小学校2年生の時、モントリオール五輪で日本の男子体操チームが団体総合で優勝したのを見て影響されて。「ウルトラマンみたい! あんなふうに宙返りができたらかっこいいな」と憧れ、スポーツクラブの体操教室に通い始めました。
――では、中学校の部活は体操部ですか?
弘道さん いえ、ソフトテニスです(笑)。公立の中学校だったから、部活が限られていて、体操部がなかったんですよ。友達に誘われてソフトテニス部に入ったんですが、やってみたらこれも楽しくて、区の大会で優勝したりしましたね。部活と並行して、地元の体育館でやっているトランポリンの教室に通い始め、そこで日体大の方に教えてもらったりしていました。
――子どもは新技を練習する時、恐怖を感じるものですか?
弘道さん それが全然怖くないんですよ。技を覚えるというより、遊びの延長だから。バック転も、友達と砂場でチャレンジしているうちに、いつの間にかできていた。「テレビでカッコイイことやっていたから真似してみよう」ぐらいの感覚で、見よう見まねでやっていたらできちゃったというのが本当のところなんです。
釣り輪で落下…高校時代に経験した“大ケガ”
――高校は日体大荏原高に進学されますが、ここを選んだのは、日体大への憧れからですか?
弘道さん そうですね。オリンピックで体操を見ていると、名前の横に「日体大」って書かれている選手が何人もいて。だから日体大に行けばみんなオリンピック選手になれると思い込んでいたんです(笑)。
高校では念願かなって器械体操部に入りましたが、想像以上にきつかったなぁ。筋トレも大変だったけど、それ以上に上下関係が厳しくて。3年生には「はい」しかいえない。「ノー」は許されないんです。2年生に相談したくても、親身になってくれるような人はいなくて。この3年間で精神的、肉体的に相当鍛えられましたね。