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「体操教室で靴飛ばしも…」佐藤弘道が実践する“負ける子を作らない”教育法…40代で大学院へ、“体操のお兄さん”のセカンドキャリアが凄かった

posted2023/08/25 11:03

 
「体操教室で靴飛ばしも…」佐藤弘道が実践する“負ける子を作らない”教育法…40代で大学院へ、“体操のお兄さん”のセカンドキャリアが凄かった<Number Web> photograph by Shiro Miyake

元・体操のお兄さんとして現在も体操指導などの活動を続ける佐藤弘道さん。「おかあさんといっしょ」初出演から、今年で30周年

text by

音部美穂

音部美穂Miho Otobe

PROFILE

photograph by

Shiro Miyake

60年以上続く人気番組「おかあさんといっしょ」で、第10代体操のお兄さんを務めた佐藤弘道さん。2005年に卒業後も、全国各地で親子向けの体操講座を開いたり、講演会を行う一方、大学院で研究に励むなど精力的に活動している。また、2人の息子を持つ父として育児にも力を注いできた。インタビュー第3回では、「体操のお兄さん」のセカンドキャリアと、子育て論について語ってもらった。《NumberWebインタビュー3回目/#1#2から続く》

◆◆◆

――弘道さんは、「おかあさんといっしょ」を卒業する3年前に、ご自身の体操クラブ「らくがきっ子体操クラブ」を立ち上げましたね。これは卒業後のセカンドキャリアを見据えて……ということだったんでしょうか?

佐藤弘道さん(以下、弘道さん) いずれ卒業する時期が来るので、ベースだけは準備しておこうと思って。ただ、僕にとっては、「体操教室を開いて子どもたちに教えたい」という思いがもともとあって、その前に、たまたま体操のお兄さんになった……という感覚なんですよ。だから、セカンドキャリアというよりも、ずっとやりたかったことにようやく着手したという感じだったのかもしれません。

――「らくがきっ子体操クラブ」では、どのようなことを教えているのですか?

弘道さん 競技者育成ではなく、体と心を育てることを目的にしたクラブです。だから、技を練習するのではなく、遊びを通じて楽しく運動をすることを大切にしています。

 あとは、運動を好きになってもらうことも大きな目的です。教室では靴飛ばしをやったりするんですが、本来ならば遠くに飛ばしたほうが勝ちですよね。でも、時にはルールを変えて、飛ばした靴を先に取って来た人が勝ちにすれば、遠くに飛ばせない子でも勝てる。「負け続ける子を作らない」というのも、僕らが意識していることなんです。

「靴飛ばしは体幹を鍛えるのにすごくいい」

――体操教室で靴飛ばしをやるんですか!?

弘道さん 実は、靴飛ばしは体幹を鍛えるのにすごくいいんですよ。かつての子どもたちは、遊びの中で自然と体を鍛えていましたが、今は「靴飛ばしは危ないから公園でやったらダメ」という時代。自由に遊べる場が減ると体力低下につながってしまうので、僕のクラブでは思いっきり体を動かせる遊びをたくさん取り入れているんです。

――YouTubeで親子のふれあい遊びを紹介したり、「おかあさんといっしょ」の「あ・そ・ぎゅ~」という親子で体操をするコーナーの監修もされていますね。

弘道さん この親子体操は僕のライフワークとも言えるもの。体操のお兄さんとしての経験、そして何より自分の息子たちと触れ合いながら体操を続けてきて、親子体操には子どもの運動能力を高める効果があると感じていました。

【次ページ】 なぜ40代になってから大学院に進学した?

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