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「何を言ってるんだ?って」西武・マキノンが仰天した元同僚・大谷翔平のふとした一言「日本に来て中村さんや栗山さんを見ていたら…」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/07 11:00
打撃でも温かいハートでもチーム内で存在感を増している西武・マキノン
ファンの心を一つにするだけではなく、チーム全体を鼓舞し、牽引しているように見えるマキノンのプレースタイルは、メジャー時代に培ったものなのだろうか。
「言葉の壁というのはあるのですが、それでも今は考えていることは言葉にしてチームメートに伝えようという意識でいます。とにかく若い選手が多いチームですし、その中で、自分のように年齢が上の選手や、他のベテランの選手がチームを引っ張っていくのは非常に大事なことだとも思っています。若い選手が何かに困っていたり、アドバイスが欲しいと思っているときには、通訳を通してではありますが、自分に解決できることであればアドバイスも送りたい。チームに貢献できることは積極的にやっていこうという意識ではいますね」
初めは手こずった「日本流」
練習の合間には、つたないながらも覚えたての日本語で周囲に話しかける。
「でも自分が使う日本語よりも、彼らが使う英単語のほうが明らかに分かりやすいので(笑)。そうやってお互いに言いたいこと、聞きたいことを話す機会が多いです」
今でこそ中軸を任され、勝負強い打撃を見せるマキノンだが、来日当初は日米の野球の違いに大いに戸惑ったという。
最も手こずったのが相手投手の投げる変化球だ。
「特にシーズンが始まって最初の1カ月は精神的に厳しかったですね。一番、苦労したのは日本のピッチャーの変化球のコントロールです。アメリカのピッチャーの変化球というのは、とにかくストライクゾーンに来るだけで、さほど精度は高くありません。しかし日本のピッチャーはどの投手も変化球をコーナーに投げ分けるし、低めに丁寧に投げてきます。変化球をコントロール良く投げられると、そう容易くヒットは打てません」
実際に追い込まれてから変化球に手を出し、打ち取られたり、三振するシーンも目立った。
ではどうやって克服したのか。
「日本のピッチャーは私に対してストレートをそれほど多く投げてこないということに気づくまで、少し時間がかかってしまいました。変化球で勝負してくることが圧倒的に多いと気づいてからは我慢強く、ボールを見極めて、ボール球を振らないよう心掛けました。そこからだいぶアジャストできるようになったと思います」