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今季日本人トップ6勝、菊池雄星は昨季までと何が違う? 被安打率、被本塁打率は増加も、四球は激減…「メジャーに来てから一番いい形」の理由 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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posted2023/06/06 11:01

今季日本人トップ6勝、菊池雄星は昨季までと何が違う? 被安打率、被本塁打率は増加も、四球は激減…「メジャーに来てから一番いい形」の理由<Number Web> photograph by JIJI PRESS

6月4日のメッツ戦では千賀と投げ合い、5回2失点でチームの勝利に貢献した菊池雄星。今季の活躍のカギとなったのは…

 その結果、被安打率、被本塁打率が上がり、奪三振率が低下した一方で、与四球率(9回あたりの四球数)が移籍後ワーストだった昨季の5.19から2.93まで減少した。

 さらに、生命線と言える速球の平均時速が95.2マイル(約153.2キロ)と、渡米後最高をマークするなど、菊池がイメージする「パワーピッチャー」へ着実に近付いてきた。四球による無駄な走者が少なくなったこともあり、たとえ一発を浴びてもダメージを最小限に食い止める、粘りの投球が目立つようになった。

いろいろな経験や学んだことが、少しずつ形になっている

 今季から「ピッチクロック」が導入されたことも、菊池にとってはプラス材料に作用した。これまでは、慎重にならざるを得ない場面で捕手とのサインが合わず、プレートを外す光景もたびたび見られた。だが、電子機器「ピッチコム」で意思伝達をすることで、サイン交換のリズムが格段にアップし、投球のテンポもスムーズになった。100勝目を挙げた一戦にしても、初回に2点を先行されながら、直後に打線が逆転した。投球の好リズムが、味方の攻撃陣に好影響を与えることを実証するかのような展開だった。

 開幕以来、先発ローテーションを担い、まずは順調に最初の2カ月を乗り切った。だが、現状維持で戦い抜けるほど甘い世界でないことは、菊池自身が痛いほど感じてきた。162試合の長丁場。スローダウンして尻つぼみになれば、序盤の活躍が色あせることにもなりかねない。ただ、今季の菊池は、技術だけでなく、メンタル面の強さも兼ね備えてきた。5勝目を挙げた試合後には、明確な言葉で手応えを口にした。

「5年間、いろいろな経験や学んだことが、少しずつ形になっている。メジャーに来てから一番いい形で投げられている」

 苦節の時期を乗り越え、地道な試行錯誤を繰り返して培った菊池の自信は、そう簡単に揺るぎそうにない。

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