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「自主練の鬼が指定校推薦」「選手権後にセンター受験→国立大合格」高校サッカー優勝校に見る文武両道「部活と勉強はお互いを…」 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/03/06 11:20

「自主練の鬼が指定校推薦」「選手権後にセンター受験→国立大合格」高校サッカー優勝校に見る文武両道「部活と勉強はお互いを…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

第101回の全国高校サッカー選手権を制した岡山学芸館。監督などに現地取材して日本一までのプロセスを聞いた

 そして、伊藤選手は全試合にフル出場した選手権の2週間後、センター試験(現在の大学入学共通テスト)を受験した。積み重ねた努力が実り、名古屋大学の経済学部に合格。部活でも勉強でも目標を実現させた。

 今回の選手権優勝で原動力になった岡本温叶選手も、サッカーと学業を両立させていた。体格や運動能力は突出していなかったが、左右ともに精度の高いキックを武器にチームで不可欠な存在に成長。サッカーでは「自主練の鬼」と呼ばれ、勉強も努力を怠らなかった。高校卒業後は、指定校推薦で中央大学へ入学する。高原監督は「部活も勉強も真面目に取り組んでいました。課題や目標を明確にして、やるべきことを自分の中でしっかりと整理できていた選手です」と評する。

現役で難関大学合格を目指す選手が増えている

 岡本選手は「スーパーVコース」に進める学力があったが、あえて国公立や難関私立大学を目指す「特別進学コース」を選択した。サッカーでレギュラーになるために自主練習の時間を確保しながら、ワンランク下のコースでトップレベルの成績をキープ。定期試験で好成績を残し、指定校推薦を勝ち取った。個々の生徒が描く将来に合わせてコースを選べるところに、岡山学芸館の特色が表れている。

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 サッカー部は2012年に初めてインターハイに出場してから、近年は全国大会の常連となっている。高原監督が就任した2008年は20人弱だった部員は2012年には50人となり、今は135人まで増えた。少子化によって地方都市では特に生徒確保に苦労する高校が少なくない中、サッカー部が岡山学芸館にもたらす効果は大きい。

 実際、この15年間で生徒数は280人ほど増加して今では約1400人に上る。注目すべきは専願率と県外生徒の割合だ。2008年度に40.5%だった入学者の専願率は、2013年度は64.1%に上昇。さらに、今年度は88.3%まで増えた。入試担当の小笠原健二教頭は「サッカーだけ、勉強だけという高校は全国にあると思いますが、サッカーでインターハイや選手権に出場して現役で難関大学合格を目指す受験生が増えています」と話す。

「部活と勉強はお互いを補完し合って前に進む両輪」

 岡山学芸館の生徒は約8割が部活に入っている。サッカー部のほかにも、野球部やテニス部、ダンス部や吹奏楽部など全国レベルの部活が多い。吹奏楽部は全国大会で何度も金賞を受賞し、現役で大阪大学や早稲田大学といった難関大学に進学する部員もいる。小笠原教頭は専願率の高さについて「寮や専用グラウンド、指導者といった全国大会を目指す環境、大学進学の実績、課題研究などの新たな教育観への取り組みに、受験生が魅力を感じていただいていると感じています」と分析する。

 県外生徒の割合も、この15年で大幅に変化した。

【次ページ】 「注目度が高くなった分、今まで以上に緊張感を」

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