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7年連続高卒Jリーガー輩出! 昌平高校サッカー部監督がこだわり続ける指導哲学「目的達成のためには高校3年間では足りない」
posted2023/06/23 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takuya Sugiyama
「指導者が生活面などで悲観的な状況で、子供たちにポジティブかつ的確な指導ができるわけがない」
昌平高校サッカー部、藤島崇之監督の言葉だ。
「そんな状態で、成長をしようとしている前向きな選手と触れ合うのは、選手に対して不誠実です。我々の目的は選手の能力を伸ばすこと。そのためには指導者の指導力、メンタル面を整えたり、伸ばすことが重要だと考えています」
近年、育成年代の指導者を巡る問題は、非常に根深いものだ。多くの学校、サッカークラブでは外部コーチが指導に当たっているが、そのほとんどがコーチ業だけでは生活できない。別の仕事をやりながらコーチをしたり、少年サッカーであれば保護者がいわゆる『パパさんコーチ』としてボランティアで指導することもある。
だが、それで選手に必要な指導がきちんとできるのか。藤島監督はそこに疑問を抱いていたのだった。
「目的達成のためには高校3年間では足りない」
藤島監督は2007年に昌平高校に赴任し、サッカー部の強化を託された。この時、藤島監督は選手をスカウトし、チームのレベルを押し上げて全国大会に出場することだけではなく、もうひとつの目標を持っていた。昌平高校を中心に、中高一貫指導ができる組織を作り出し、選手と指導者を継続的に育てていくというものだ。
「中学校年代から高校年代に上がる過程で、求められることが違いすぎると戸惑ったり、馴染むのが難しくなったりします。さらに高校の“次のステージ”としてはプロや大学など今よりも高い場所に行くわけですから、自分自身をピッチで表現できる選手にならないといけません。
背景の異なる新たな仲間とチームを組んだときに、すぐにリレーションシップができ、かつ自分の持ち味を出せる選手にすることが我々の目的でもあります。その目的達成のためには高校3年間では足りない。だからこそ中高の6年間をかけて育成をすることが有効的なのです」
構想を具現化するための一番大切なのは「指導者の確保」だった。人づくりをきちんとできた上で組織を構築することで、育成の流れが安定する。逆だと、継続的な組織の安定化を図ることは難しい。
6年スパンで指導ができるコーチを育てないと
「常に選手の先を見た育成、つまり中高一貫の6年の指導ができる組織を具現化させるためには、中学校年代で急いで育てようとしてはいけません。『今はここを我慢しよう』、『別のところを伸ばして、高校で花開くようにアプローチしよう』という、6年スパンで指導ができるコーチを育てないといけない。指導者の価値を高めないといけなかったんです」
藤島監督は人づくりの一環として、昌平高校サッカー部のスタッフに習志野高校時代の同級生などを招聘し、指導者としてお互いを刺激できる環境を構築。そしてメンバーのコミュニケーションが密になった段階で、また新たな指導者を迎え、徐々にイメージの共有と指導アプローチの理解を共有できる輪を大きくしていった。