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あの江川卓を超えた…オリックス山本由伸は「プロ野球史上No.1投手」か? レジェンドたちを上回った“驚きの打者圧倒度”
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/02/09 11:00
球史に残る大投手の生涯ベストシーズンの成績を比較して、日本プロ野球史上No.1投手を探る旅。江川卓、田中将大らに続く第8回は山本由伸(オリックス)だ
立ちはだかる稲尾和久…結果は?
つづいて、昭和後期以降の新チャンピオンとなった山本と、オールタイムチャンピオンである1961年の稲尾和久(西鉄)との勝負である。2人のベストシーズンの比較は以下の通りになる(赤字はリーグ最高、太字は生涯自己最高)。
【山本】登板26、完投6、完封4、勝敗18-5、勝率.783、投球回193.2、被安打124、奪三振206、与四球40、防御率1.39、WHIP0.85
【稲尾】登板78、完投25、完封7、勝敗42-14、勝率.750、投球回404、被安打308、奪三振353、与四球72、防御率1.69、WHIP0.94
改めて言うまでもないが、稲尾の登板数は3倍、完投数は4倍以上、勝利数・投球回も2倍以上……とさすがに「鉄腕」である。とはいえ、これらも時代の違いがあるため重視せず、例によって打者圧倒度に注目してみよう。
1試合当たりの被安打数は、山本の5.76に対して稲尾は6.86。奪三振率は山本9.57、稲尾7.86。防御率、WHIPも山本が上回って……時代を越えた頂上決戦を制したのは、他ならぬ山本だった。
シーズン42勝の日本記録と、353奪三振という史上2位のシーズン奪三振記録を併せ持つ鉄腕に、現役最強の山本が勝利するとは……。筆者自身、やや意外な結果となった。
山本がもし404回を投げていたらどうなったか、という思いは残るが、ここでは当企画の趣旨をまっとうしよう。シーズンを通して打者をより圧倒し続けた最強の投手として、山本を新チャンピオンとしたい。
思えばWBCには、今回新チャンピオンになった山本由伸はじめ、これまで史上最高候補として登場した大谷翔平、ダルビッシュ有も出場する。当企画の"主催者"である筆者も彼らの活躍を大いに期待したい。
次回は、新チャンピオン山本由伸に、元祖沢村賞、”日本プロ野球を作った男”沢村栄治が挑戦する。
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