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「WBCで“右の柳田”が見られる!」ソフトバンク戦力外→中国代表にファン歓喜…真砂勇介はなぜ愛される? 本塁打通算3本も“国際大会MVP”の実績
posted2023/02/09 06:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
昨季限りでソフトバンクを退団した右打ち外野手の真砂勇介(28歳)が、WBC中国代表に選出されたことが話題を呼んでいる。
真砂は京都府の生まれで日本国籍だが、両親が中国出身ということで出場資格を満たした。野球中国代表は過去4大会ともWBCに出場したものの、いずれも1次ラウンド敗退。東京五輪は最終予選を辞退して本大会に出場することが出来なかった。そうした歴史があるだけに、昨季まで10年間、NPBのソフトバンクでプレーした真砂には中国代表の主軸として大いに期待されているはずだ。
ただ、真砂はソフトバンクの10年間で通算180試合、46安打、3本塁打と図抜けた実績を残せたわけではなかった。
にもかかわらず今回のニュースが流れた途端にSNSを中心に好意的な声が溢れかえり、ソフトバンクファンを中心に喜びに沸き祝福ムードに満ちている。
なぜ、真砂はこんなにもファンに愛されているのか。
なぜ愛されているのか?
真砂は2012年ドラフト4位で西城陽高(京都)からプロ入り。甲子園出場経験はなかったが高校通算52本塁打に加えて、遠投100m超の強肩や50m6秒を切るともいわれた俊足が武器のいわゆる“身体能力オバケ”として「ドラフト下位でとんでもない逸材を獲れた」と球団は喜んだ。その期待値は当然そのままファンにも伝わる。「秋山幸二2世」などと呼ばれた時期もあった。
そんな男に「ミギータ」なる愛称がつけられたのは16年2月の春季キャンプのこと。この前年にトリプルスリーを達成した柳田悠岐がシーズンオフに手術を受けた影響でB組調整を行っていた。柳田は三塁側ベンチ前から、そして真砂は一塁側からそれぞれ外野に向かって同じタイミングでロングティーを行うと、打球の勢いも飛距離もほぼ互角ではないか。それを見た当時二軍打撃を担当の藤本博史コーチ(現監督)が「オマエすごいな。右のギータ、ミギータや」と驚嘆の声を上げたのがキッカケだった。
国際大会で“大活躍”の実績
また、その年の秋には一軍初出場より先に「侍ジャパン」デビューを果たした。メキシコで行われた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」に参戦。それだけでも「まさか」と驚いたのに、さらなるサプライズが待っていた。そう、ホークスの二軍でも経験がなかった「4番」を任されたのである。