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あの江川卓を超えた…オリックス山本由伸は「プロ野球史上No.1投手」か? レジェンドたちを上回った“驚きの打者圧倒度” 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/02/09 11:00

あの江川卓を超えた…オリックス山本由伸は「プロ野球史上No.1投手」か? レジェンドたちを上回った“驚きの打者圧倒度”<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

球史に残る大投手の生涯ベストシーズンの成績を比較して、日本プロ野球史上No.1投手を探る旅。江川卓、田中将大らに続く第8回は山本由伸(オリックス)だ

2年連続「4冠」は山本由伸のみ

 この年、山本は全会一致で沢村賞を獲得し、パ・リーグMVPも受賞。ドラフト4位の男が、名実ともに日本一の投手にまで昇りつめたのである。

 これだけでも十分凄いがさらに驚異的なのは、山本がこの歴史的な投球を翌22年も続けたことである。

 22年の最終成績は、15勝5敗、勝率.750、防御率1.68、奪三振205で、2年連続の投手4冠。それまで「投手4冠を2度達成した投手」は日本プロ野球史におらず、山本が初めてだった。それも連続年での達成である。当然のように、沢村賞も2年連続全会一致で受賞。過去の連続受賞者を見ても、杉下茂(名古屋)、金田正一(国鉄)、村山実(阪神)、斎藤雅樹(巨人)、菅野智之(巨人)と錚々たる名前が並ぶ。もし、この成績を23年も継続して3年連続となれば、金田正一以来2人目の“沢村賞3連覇”となり、通算3回の受賞も歴代最多タイ。記録的に考えても、日本プロ野球史上最強投手の称号を得ることになるだろう。

なぜNo.1投手になりえたか

 過去のスーパーエースたちに劣る高校時代の実績、体格。それでも山本はなぜ、これほどの急成長を遂げることができたのか。その秘密のひとつに、独特のトレーニング方法があると言われている。

 最近は、山本の活躍もあって広く認知されるようになったBCエクササイズと呼ばれるトレーニング方法で、個々の筋肉を鍛えるのではなく、身体の深部に働きかけ、身体を内側から変えることで、効率的に全身の力を使えるようになるという。ブリッジや倒立などで身体のバランスを整え、やり投げやハンマー投げのトレーニングで全身の効率的な使い方を身につける。これによって、力を入れずとも力のある球が投げられるようになり、試合の終盤まで球速が落ちず、登板後の疲労も少なくなるという(参考:『Number』1023、1052号)。

 アメリカに渡った大谷が筋トレを重視し、年々筋肉と身体を大きくしている身体の作り方とは対称的な、武術にも通じる身体の作り方と言えるかもしれない。

【次ページ】 江川卓に挑む…果たして?

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