酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「強豪校女子マネの実態」「二塁走者の最適リードは?」高校生の野球研究が東大、社会人並みにスゴい…生徒、元プロの先生に話を聞いた
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2023/02/05 11:00
センバツ出場を決めた東邦高校。同校は「野球研究」という分野でも興味深い知見を発表した
その後ポスター発表の審査が行われ、高校では東邦高校、明石実也さんが発表した「野球強豪校女子マネージャーの実態調査:女子マネージャーの教育的価値を考える」がこれまでにない視点を評価され、奨励賞に選ばれた。
多くの高校が野球の作戦を題材にした統計データ関連の発表をした。これももちろん重要なテーマだが、東邦高校は2つの研究ともに目の付け所が新鮮で、視野の広さを感じさせる。
元プロの東邦高校副部長が語った研究の意義とは
東邦高校の研究を指導した硬式野球部で副部長、人間健康コース主任の木下達生先生は、このように語っている。
「うちには女子マネージャーが16人います。去年は18人いて、これほど多い学校ってほかにないと思います。マネージャーと言う形で野球に参加する方法もあるんじゃないかと思って、マネージャーのリーダーの明石さんに相談したら、こういう形でいい報告をしてくれました。おかげさまで今春の選抜にも選ばれましたが、発表をした中にはレギュラー争いをしている部員もいます」
愛知県の東邦高校と言えば、春夏の甲子園で合わせて歴代7位の75勝を挙げ、春最多の優勝5回を誇る名門中の名門である。また木下先生は東邦高校から2005年高校ドラフト3巡目で投手として日本ハムに入団したエリートだ。
そんな「超名門校」が、こんな視野の広い研究をしている。
あまり知られていないが、高校野球は「甲子園を目指す」だけでなく、選手やマネージャーの将来につながる「学びの場」へと変わりつつある。野球の競技だけでなく「研究」も進んでいるのだ。これも日本野球の新しい「進化の形」ではないか。
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