ダルビッシュ輩出の名門が激変していた…服装・練習を“高校球児が考えて”センバツ出場の東北 「それで技術は向上する？」に新監督の“驚きの答え”

　この日、唯一の全体練習だった投内連係は終始賑やかに行われた。

　投手と野手のコンビネーションが必要とされる練習だが、一塁手がバックハンドで捌いたり、バスケットボール選手のようなトスをしたりしていた。ミスがあれど誰かが叱責する声もなく、選手たちは終始笑っていた。

「ある人に中南米のクラブみたいですねって言ってもらえて。嬉しかったですね」

　そう言って佐藤洋監督は笑顔を見せた。

「とにかく、選手が楽しんでいるか。それだけ」

　おおよそ高校野球、それも名門校の練習とは思えない雰囲気だが、「遊んでいる」わけではない。練習では試合で起こりうるさまざまなケースが想定されていた。

　バント処理の練習では、ゴロだけではなく、時にフライボールもおり混ぜる。バントの小フライの際に、ワンバウンドで捕球して併殺を完成させるプレーに備えるためだ。

「あれは（監督の）洋さんに教えてもらったんですけど、フライをただ捕ってアウトにするだけではなく、ダブルプレーもとることができる。練習からやってみるのもいいかなと思ってメニューに入れました」

　佐藤響主将がそう説明してくれた。オートマチックなバント処理練習に偏ることなく、ノッカーがランダムに状況を設定しているあたり、楽しさの中に試合への意識も見てとれた。

バント処理の練習　©Hideaki Ujihara

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バントフライを想定した練習も　©Hideaki Ujihara

　昨秋、宮城県大会を12年ぶりに制覇。東北大会でも準優勝を果たし、この春のセンバツ出場を決めた東北の練習風景は一風変わっている。その仕掛け人は昨年8月に就任したばかりの佐藤洋監督。野球の楽しさを選手とともに体現している指揮官だ。

「とにかく、選手が楽しんでいるか、それだけですよ。試合でも、勝ったか、負けたか、エラーをしたか、ヒットを打ったか……とかを見るのではなく、選手たちが前向きに取り組めているか。それを確認しています」

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